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» 2016年12月03日 06時00分 UPDATE

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10スマホでPC向けx86アプリが動くようになる? (1/2)

アプリの充実度に課題がある「Windows 10 Mobile」。ついに、Windows 10世代のユニバーサルアプリではなく、既存のPC向けx86アプリをエミュレーションで動作させる計画のウワサが出てきた。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 「CHPE」というキーワードがWindowsアプリケーション業界でちょっとした話題になっている。

 これの意味するところは「x86 on ARM64」。つまり、ARMの64bitアーキテクチャ上でx86アプリを動作させるエミュレーション技術の名称のようだ。もし実現すれば、ARMプロセッサを搭載したWindows 10 Mobileスマートフォンおよび小型タブレットで、既存のWindows PC向けx86アプリを動かすことが可能になる。

 このエミュレーション技術は別名「Project Cobalt」とも呼ばれ、2017年秋のリリースが予定されているWindows 10の次々回大型アップデート「Redstone 3(RS3)」でサポートしてくる可能性があるという。

Windows 10 Mobile Windows 10 Mobileは、搭載デバイスに外部ディスプレイ、キーボード、マウスを接続することで、PCのように対応アプリ(UWPアプリ)を操作できる「Continuum」機能を備えている。これが既存のPC向けx86アプリでも利用可能になるというウワサが出てきた

「x86 on ARM64」が狙う市場

 同技術がRS3に搭載される可能性を報じているのは、米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏だ。

 このエミュレーション技術は現在RS3で搭載すべき機能の1つとして開発が進められており、対象は携帯電話、タブレット、PCの3種類で、サーバは含まれていないという。サーバ上で動作する特定用途の向けのアプリではなく、一般ユーザーが利用するためのフロントエンドアプリ向けの技術ということになる。

 現状でWindows 10 Mobileのターゲットがビジネスユーザーであり、かつx86エミュレーションをどうしても必要とするのが主に既存のx86アプリ資産を抱えるビジネスユーザーであることから、RS3での「x86 on ARM64」の搭載は、ビジネスユーザー向けの施策だというのが同氏の推測だ。

 折しも同氏が記事を公開する前日に、Twitter上でWalkingCatというユーザーのアカウントが、この技術について「CHPE」という名称が付いていることを発見したと報告している。

 WalkingCatはWindows関連のリーク情報で知られているアカウントだ。最近では2017年春に一般公開される見込みのWindows 10次期大型アップデート「Redstone 2(RS2)」こと「Creators Update」に標準機能として搭載される「Paint 3D」の存在を初めて公にしたことで知られる。

 なお、ジョー・フォリー氏によれば、このCHPEのうちの「C」は開発コード名の「Cobalt」を意味していると情報筋の発言を引用しており、残りについては(最新のハイエンドWindows 10 Mobileスマートフォンである「HP Elite x3」を出している)「HP」のブランドと、「Emulation」の頭文字を合わせたものではないか、と推測している。

HP Elite x3 HPのハイエンドWindows 10 Mobileスマートフォン「HP Elite x3」

 RS3の現状でのリリースは2017年秋を予定しているが、このタイミングではQualcommの次期SoCである「MSM8998」こと「Snapdragon 835」の登場が見込まれている。同氏は、このハイエンドSoC向けの目玉機能として提供されるのが、Cobaltとも推測しているようだ。

 少なくとも、バイナリ変換を含むエミュレーション処理機構の搭載には高速なプロセッサパワーとある程度のメモリ容量が必須となる。そのため、ARMプロセッサ側に相応のハイエンド処理能力が搭載されていなければならない。

 現状で有線のContinuumが動作するSoC(例えばSnapdragon 808/810、メモリ3GB以上)、あるいはHP Elite x3のようなSnapdragon 820や間もなく登場するSnapdragon 835クラスのSoCを要求するというのは理にかなっている。そして、同技術の搭載の目的も「Continuumにおける利用体験の改善」だと考えるのが自然というわけだ。

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