製品写真をよく見せるテクにだまされない方法牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2017年01月21日 07時00分 公開
[牧ノブユキITmedia]
前のページへ 1|2       

カラバリが多くてもユーザーが使うのは一つ

workaround カラーバリエーションが豊富だと、華やかでよい製品だとだまされやすい?(写真はイメージです)

 最後にもう一つ、実際にあり得ないシチュエーションで撮ることでユーザーを錯覚させるテクニックについても紹介しよう。前の二つはメーカーが意図的に仕掛けてきているが、こちらはどちらかというとメーカー側の意図というよりも、明らかにあり得ないシチュエーションながら、想像力に乏しいユーザーが自ら誤認するタイプのものだ。

 典型例として挙げられるのは、メーカーのWebサイトや広告によくある、カラーバリエーションもしくは柄が多数用意された製品で、全てのバリエーションを並べたカットだ。本来、ユーザーが購入するのはそのうち一つだけで、手元に全てのバリエーションが並ぶことなど普通はあり得ない。メーカーも、単に全バリエーションを効率的に紹介するために並べているだけで、特にユーザーに誤認させようとする意図はない。

 しかしユーザーの中には、そうした見た目の華やかさにだけ目を奪われ、実利用シーンを想像せずにそのうち一つを選んでしまい、手元に届いた段階で、初めて「あれ、思っていた華やかさがない」と感じるタイプの人がいる。購入前に見ていたのはカラーバリエーションで、届いたのはそのうち1色だけなので、華やかさが欠けていて当たり前なのだが、自分がそのような錯覚をしていることに思い当たらず、違和感を覚えつつもそのまま使い続けてしまうというわけだ。

 これは量販店における陳列でも同様の効果が現れやすい。例えば、カラーバリエーションの白と黒だけを陳列した状態ではあまり売れなかったが、それ以外の原色やパステル系のカラーバリエーションを並べると、それらのカラーは売れないものの、もとからあった白黒がやたらと売れ出す、という現象だ。

 「ユーザーに選ばせる」というアクションを取り入れることで、購入のハードルを下げるという典型的なパターンだが、これらは「山積み商法」や「限定商法」と同じで、考えずに買ってしまうユーザー個人の性格的な問題の方が要因として大きい。

 こうした商法に踊らされがちな人は、メーカーの手口を知ることと並行して、いま一度、自分の製品購入の基準を振り返ってみた方がよさそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー