日本を含め、現在ワールドワイドで主流となっているモバイルノートPCのサイズは13型前後だ。2017年の年明け早々、富士通とNECがこのクラスのノートPCで世界最軽量合戦を繰り広げて話題となったことは記憶に新しい。
まず富士通クライアントコンピューティングは1月17日に、13.3型ディスプレイを搭載して世界最軽量となる約777gのクラムシェルノートPC「FMV LIFEBOOK UH75/B1」を発表。同日にはNECパーソナルコンピュータ(NECPC)が、世界最軽量の13.3型2in1モデルを今春投入すると発表し、富士通に対抗する姿勢を示した。
その後、NECPCは2月7日に13.3型2in1「LAVIE Hybrid ZERO HZ350/GA」を発表。予告通り約769gという重量をもって、13.3型ノートPCの世界最軽量記録を塗り替えた。ここでのポイントは、画面が回転してタブレットモードになる2in1タイプながら、変形しないクラムシェルノートのFMV LIFEBOOK UH75/B1を軽さで上回ったことだ。
わずか1カ月未満で王座を奪われた富士通のPC開発陣はさぞかし悔しい思いをしていると予想されるが、2月22日に同社はノートPC製造拠点である島根富士通を報道陣に公開し、ここで面白いデモ展示を行った。
それは約777gと発表したFMV LIFEBOOK UH75/B1の重量が「実は約761gだった」という内容だ。1月17日に製品発表した後、実際に量産出荷して重量の平均値を計測したところ、当初想定していたより約16g軽い約761gの軽さを実現できているという。
たった約16gの差だが、この差は非常に大きい。お気付きだろうが、公称値が約761gに修正されるとしたら、LAVIE Hybrid ZERO HZ350/GAの約769gを抜いて世界最軽量の座を奪還することになるからだ。
もっとも、現状でFMV LIFEBOOK UH75/B1の製品情報サイトを見ると、重量は当初発表した約777gのままで変わりはない。同社説明員によれば「今後、重量の公称値を変更するなどの対応は未定」とのことだ。しかし、報道陣にノートPC製造拠点を公開するタイミングで、あえてこうした展示を織り交ぜてきたことには富士通の強いプライドが感じられる。
仮にFMV LIFEBOOK UH75/B1の公称値が約761gになった場合、対抗してLAVIE Hybrid ZERO HZ350/GAも「実は量産出荷したら〜gだった」など、いたちごっこになりそうな予感がしなくもない……が、一人のモバイルPCユーザーとしては、今後も切磋琢磨(せっさたくま)しながらノートPCの軽量化を突き詰めていってもらいたいところだ(Lenovoとの提携の話はさておき)。
IntelのUltrabook戦略以降、メーカーが薄型軽量PCを開発するハードルは大きく下がり、今ではノートPCがスリムでスタイリッシュなのは当たり前になった。1kg前後で持ち運びに苦労しないモバイルPCが数多くある中、そこまでグラム単位の軽量化にこだわる必要があるのかと思われるかもしれない。
しかし、単にプラットフォームの進化ではない高密度実装技術や、薄型軽量と堅牢性を両立する技術などは、日本メーカーがまだ強みを発揮できる部分であり、そこに付加価値があるのも確かだ。実際、FMV LIFEBOOK UH75/B1もLAVIE Hybrid ZERO HZ350/GAも単に超軽量なだけでなく、性能や機能、堅牢性といった全体のバランスもよく練られている。今春にモバイルノートPCの購入を検討しているならば、チェックすべき2製品だ。
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