コラム
» 2018年02月04日 06時00分 公開

ITはみ出しコラム:カバー範囲は宇宙、地底、脳内チップ、自動運転、そして火炎放射器まで イーロン・マスクってどんな人?

米TeslaのCEOとして知られるイーロン・マスク氏ですが、それ以外にも幅広い事業を手掛けています。先日はなぜか火炎放射器を発売して注目されたりもしましたが、どんな人なのでしょうか?

[佐藤由紀子,ITmedia]

 火炎放射器を振り回してはしゃぐ46歳──。起業家のイーロン・マスクさんが自分のInstagramに投稿した動画です。

 この火炎放射器は、彼が立ち上げた企業の1つ、「The Boring Company」が2万台限定で500ドルで発売したものです。1月25日に発売し、2月1日に完売しました。

elon 1 火炎放射器は発売約1週間で完売

 The Boring Companyのboringは地中に穴を開けるボーリング、つまりトンネルを掘る会社です(退屈という意味のboringとダブルミーニングです)。それがなぜ火炎放射器……。

 マスクさん、電気自動車メーカー米TeslaのCEOとしてご存じの方も多いと思いますが、Teslaだけでなく、宇宙開発のSpaceX、脳内チップ開発のNeuralink、そしてこのThe Boring Companyも経営しています。

elon 2 Tesla「Model 3」発表イベントでのイーロン・マスク氏

 一見ばらばらなラインアップですが、全て「人間が求めるものは何か?」という自問自答からスタートしたものだそうです。Teslaは持続可能エネルギーのため(だからソーラーパネルも販売している)、SpaceXは火星への移住による人類存続のため、Neuralinkは意思疎通の改善のため、そして、The Boring Companyは交通渋滞解消のため。

 サンフランシスコやシリコンバレー辺りの渋滞は社会問題になるほどひどく、それを解決するには「そうだ、地下にトンネル掘ればいいじゃん」と思い付いたそうです。それも1本ではなく、縦横無尽に地下をはりめぐらす計画です。普通、思い付いても実行しようとしないですよね、技術的にも法規制的にも大変そうだから。でもそれを実行するのがマスクさん。

elon 3 地下トンネル網構想

 それと火炎放射器と、どういう関係があるのか、というと、多分、何の関係もないです。そもそもこれは火炎放射器というよりガスバーナー程度のパワーしかなくて、安全で「楽しみのためだけに」使えるとのこと。

 同社は火炎放射器の前に、会社のロゴを付けた帽子も限定5万点販売していて、こちらも完売しています。つまり、企業ロゴグッズシリーズの第2弾としてロゴ付き火炎放射器を思い付いただけみたいです。退屈しない楽しいグッズとして。

 企業イメージ戦略というより、単純に自分で楽しんでいるように見えます。火炎放射器なんて、企業イメージを悪くする可能性もあります。実際にカリフォルニア州議員が「面白くもなんともない。カリフォルニア州では販売させない」と怒っています

 「人類のため」という大望と、こういういたずらっ子のような発想が共存するイーロン・マスクは、どんな人なんでしょう。

 父親は南アフリカのエンジニア、母親は美人モデル兼栄養士。家は裕福でしたが両親はいつも不在で乳母もおらず、「本が育ててくれたんだ」と本人談(米Rolling Stone誌より)。火星移住構想は、10歳のころにアイザック・アシモフのSF本を読んでから実現しようと思っていたそうです。

 11歳のときに両親が離婚し、3人兄弟の長男だった彼は「お父さんを1人にしたらかわいそう」と思って父親と暮らすことに。ところがこの父親が(イーロンによると)「とんでもない悪人」で、精神的にも肉体的にもひどい目に遭い、それが邪悪なものを強く嫌う性格を形成したようです。

 Rolling Stoneのインタビューでは、父親の話になると声が震え、涙さえ流しています。

 頭脳明晰さは父親譲り。エキセントリックさは母親譲りかも。おかあさん、今も栄養士として活躍しています。

elon 4 お母さんのメイさんも活躍中

 イーロン本人は2人の女性と結婚して離婚し(今は独身)、5人の子ども(最初の妻との子)の父親です。愛情に飢えた子どものように、「1人でいるのは耐えられない。軽い付き合じゃなくて、長い関係がほしい」とインタビュアーのニール・ストラウスに訴えました。

 Teslaの「Model 3」の納車イベントのときは、それまで付き合っていた女優のアンバー・ハードに振られたばかりで、「とてもステージに立てる気分じゃなかったけど、レッドブル2本飲んでがんばった」そうです。そう言われると上の写真、ちょっと元気なさそうに見えます。

 天才かもしれないけれど、周囲の人は大変そう。彼の夢が実現するよう、遠くから応援したいです。

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