ボーデン氏はPolarisのターゲットを「ゲームや(Adobe Premiereなどの)プロフェッショナル向けアプリケーションを必要としないカジュアルユーザー」と想定している。
いわゆるSurfaceライクな2in1タブレットや軽量ノートPC、さらにはiPadやChromebookなど、パフォーマンスを必要としない一方で、Webブラウジングやストリーミング音楽・動画といったコンテンツ消費が中心のユーザーというわけだ。
つまり昔ながらのWindowsの需要は引き続きあるということは認めており、Polarisの位置付けは「Windows 10の置き換えや後継」というよりも、「Windows 10 Sのコンセプトをさらに突き詰めたOS」と考えるのが正しいだろう。
ただ、ここで疑問となるのが両者のすみ分けと開発スタイルだ。現在はWindows 10、Windows 10 S、Windows Server、Windows 10 IoTといった形で、異なる提供形態ごとにWindows Insider Program参加者向けに開発プレビュー版(Windows Insider Preview)が提供されているが、実質的にコアとなる部分が一緒だからこそ開発ラインをある程度そろえられている面もある。
Polarisがどの程度Windows 10を改変したものかは不明だが、少なからず本来のWindows 10にその基礎部分がフィードバックされることは避けられず、Windows 10の基本部分をWindows Core OSに寄せた上で、さらにモジュラー構造であるPolarisがWindows 10の派生品としてリリースされるのではないかと考えている。
またWindows Centralでは、ボーデン氏のレポートを受けてダニエル・ルビノ氏が補足の解説記事を掲載している。
ここでは、Windows Core OSを中心にモバイル向けが「Andromeda」、ノート・デスクトップPC向けが「Polaris」、Surface Hubが「Aruba」、Mixed Realityシェルが「Oasis」というコード名になることが解説されており、OSコアに機能を組み合わせたプラットフォームをそれぞれ「Composer」と表現している。
【訂正:2018年2月10日午後11時 初出でモバイル向けのコード名に誤りがありました。「Andromeda」と訂正しました】
つまり選択するComposer次第ですぐにデバイスの動作モードを切り替えられる旨も述べているのだが、例えば現状の「Windows 10 Mobile」は構造がデスクトップPC向けのWindows 10とはさまざまな理由から細かい部分で異なっており、小型タブレットのOSを切り替えてそのままスマートフォンとして利用できるかは疑問だ。
いずれにせよ、Microsoftが現行のWindows 10の大型アップデートである「Redstone」のラインで当初目標としていた機能を搭載し終えた暁には、次の新しいアップデートへの開発ラインが走ることになり、このPolarisのコンセプトが盛り込まれていくのかもしれない。
Windows 10の次期大型アップデートである「Redstone 4(RS4)」が一般向けにリリースされる2018年4月以降の最新ニュースや動向に注目したい。
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