“地味子”じゃなかった第2世代Ryzen ベンチマークテストで徹底検証(3/3 ページ)

» 2018年04月20日 19時53分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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 続いては3DMark。Fire Strike以上のものを4つ抽出したが、Fire Strike Ultra以上については、4製品ほぼ同等のスコアだ。一方、この中では比較的GPU負荷の低いFire Strikeでは、Core i7-8700Kが頭一つ飛び抜ける。

 第2世代Ryzen、特にハイエンドゲーマーがターゲットにするだろうRyzen 7 2700Xは、4KやDirectX 12といった条件下ではCore i7-8700Kに対してほとんど遜色ないパフォーマンスを示している。

 一方、GPU負荷が下がって、CPU負荷の上がる状況では、まだCore i7に軍配が上がるようだ。今回はGeForce GTX 1080 Tiを用いているので、DirectX 11のフルHDあたりで境目が現れた。

 これがGeForce GTX 1080や1070あたりになるともう1段低いSkyDiverあたり、DirectX 11でもやや軽量かつ解像度も控え目なあたりで境目が現れるだろう。ただし、GPU側がそこそこ性能があるならば、フレームレート自体は十分遊ぶに足りることが想定される。CPUとGPU性能のバランスに注意してほしい。

3DMarks、Graphics、Physics/CPUの結果

 それではゲームテストの結果を見ていこう。今回は、4KとフルHDでそのタイトルの最も高画質なプリセットを、HDでは最も軽量なプリセットを試した。最初はFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク。基本的には3DMarkの結果と同様だ。4Kでは互角、フルHDあたりでCore i7との差が生じはじめ、HDではさらに広がる。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマークの結果

 Far Cry Primal。新作Far Cry 5が登場しているが、ゲームエンジンは同じなのでまだしばらく使いたい。Far Cry 5とフレームレートは異なると思われるが、おおまかな傾向はつかめるだろう。Far Cry Primalは、3DMarkとは異なる傾向で、ほかのテストとも異なる独特の結果だ。Ryzen系のCPUが健闘している。ただし、トップがRyzen 5 2600Xだった。このため、スコアのブレである可能性も否定できないが、4KでRyzen系が軒並み59fpsで並んだように、何かしらRyzenと相性が良かった可能性もある。

Far Cry Primalの結果

 The Divisonは再び3DMarkと同様の傾向に戻った。ただし、Ryzen系の中では、Ryzen 7 2700Xが最も高いフレームレートを出している。

The Divisionの結果

 Assassin's Creed OriginsとTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsは、ゲームエンジンが同じなので傾向は似ている。ただ、使い方は異なるため多少の違いはある。全体的には3DMarkと同じ傾向だが、フルHD時で見ると、Assassin's Creed OriginsではRyzen 7 2700XとCore i7-8700Kの差がやや大きめで、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsではさほど大きくない。

 Assassin's Creed Originsのプリセットの最高画質は、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのウルトラ画質と比べるとややGPU負荷が低いのだろう。フレームレートにも現れている。

 一方、Assassin's Creed Originsの超低画質は、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの低画質よりもGPU負荷がやや高いものの、Ryzen 7 2700X対Core i7-8700Kとの比率は同じようなものになるようだ。

Assassin's Creed Originsの結果
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの結果

 最後は消費電力。今回3枚のマザーボードを用いているので、それらのベースの消費電力が異なることも考慮すると、おおまかな傾向を把握できる程度と思ってほしい。Ryzenになってから、アイドル時の消費電力が下がり、高負荷時もおよそIntelの同じクラスのTDPの製品に近い値となる傾向がある。それは今回も基本的に変わらない。

 ポイントとなりそうなのがCINEBENCH R15時のRyzen 7 2700Xだ。Ryzen 7 1800Xとは同じマザーボードで計測しているが、20W強高い結果が出ている。TDPが105W対95Wなので、その差10Wよりも若干大きく出たが、予想の範囲内だ。CPUをフルに使う場合はこのくらいの消費電力増を見積もりたい。

消費電力

 少し気になったので、マザーボードが同じRyzen 7 2700Xと1800Xで、PCMark 10のProductivityシナリオ実行中の消費電力ログを確認してみた。時系列で見ると、確かにRyzen 7 2700Xのほうがやや高いところにあるようだ。ただし、負荷が抜けたシーン(アイドルというわけではない)では同じくらいで、もう1つポイントになるのが、Ryzen 7 2700Xのほうがより速く処理を終えている点だ。一定量の処理をさせる場合、Ryzen 7 2700Xならより短時間に処理を終えることができ、そこを考慮すれば積算電力では逆転することもあるだろう。

PCMark 10 - Productivity実行中の消費電力

想像よりもイイ!Ryzenの進化を体感しよう

 第1世代Ryzen登場から1年少々で登場した第2世代Ryzen。Ryzen 7 2700Xは最上位モデルとして想像よりも大きなパフォーマンスアップが確認できた。また、Ryzen 5 2600Xも一部のテストでRyzen 7 1800Xを上回るなど、こちらも想像以上だ。

 AMDファンなら買い替える価値は十分にある。新規にRyzenを組みたい方にはオススメだ。Ryzenシリーズには得手・不得手があるものの、それも1世代でかなり改善が見られた。特に4Kゲーミングや負荷の高いDirectX 12ゲーミングなら、ライバルとの差がほとんどないのでコスパで選べる。PCMark 10のように一般的な用途では十分に実用的で、マルチスレッドに最適化されたアプリケーションを利用するならさらにコスパの良さが光る。

 第2世代のRyzenは“タック”相当であるため当初そこまで大きな差にはならないと予想していたが、計測してみると第1世代と比べてもまずまず大きな差になった。Ryzenは着実に育っている。

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