Windows 10「RS5」に見え隠れするMicrosoftのモバイル新戦略鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2018年08月23日 14時30分 公開

 「Redstone 5(RS5)」と呼ばれるWindows 10の次期大型アップデート(バージョン1809)は、2018年10月ごろに一般公開される見込みだ。それに向けて、米Microsoftの開発も大詰めを迎えつつある。

 Microsoftのユーザー参加型開発プログラム「Windows Insider Program」にて、プレビュー版「Windows 10 Insider Preview」のRS5相当バージョン(ビルドと呼ぶ)が配信され始めたのは2018年2月のこと。そこからしばらくは目新しい機能が少なく、開発ペースも停滞気味だった

 しかし、7月下旬からMicrosoftは何かに目覚めたかのようにハイペースでビルドの更新を続けている状況だ。7月25日(米国時間、以下同)にBuild 17723、7月31日にBuild 17728、8月3日にBuild 17730、8月8日にBuild 17735、8月14日にBuild 17738、8月17日にBuild 17741と、8月21日にBuild 17744と、8月は既に5回のアップデートを実施している。

 その多くはバグ修正関連ではあるが、8月から9月上旬はこうした動きが活発化するだろう。RS5の「ファイナライズ」までにはまだ1カ月近く猶予があるものの、そろそろ2019年春に一般公開予定の次々期アップデート(19H1)の姿も見えつつあり、RS5も完成形となりつつある。

 今回はそんなRS5の開発ビルドに垣間見える、Microsoftの新しいモバイル戦略に関するトピックを紹介していく。

スマホ連携アプリ「Your Phone(同期電話)」を巡る騒動

 Windows 10 Mobileというスマートデバイス向けOSのピースを失ったMicrosoftは、モバイル戦略の変更を余儀なくされた。現在のMicrosoftにとって、スマートフォンなどモバイルデバイスとWindows 10 PCの連携は、Windows 10 MobileのようなOSでの実装ではなく、モバイル向けアプリを介してクラウド経由でデータを同期する方針が主軸だ。

 Microsoftは「Project Rome」の名称で、サードパーティー開発者に対してWindows 10 PCとクラウド連携を行うためのSDKを提供しているが、自社でも純正アプリでモバイルデバイスとPCの連携を図ろうとしている。

 そのアプリの1つである「Your Phone(同期電話)」は、Microsoftの開発者イベント「Build 2018」で発表されたWindows 10の新機能で、iPhoneやAndroidのスマホとWindows PCをワイヤレスで連携できる仕組みだ。ドラッグ&ドロップで写真ファイルを転送できたり、SMSのメッセージを閲覧・編集したりと、スマホとPCの橋渡しの役割を担っている。

 このアプリは発表後に、Windows Insider Previewの開発ビルドに搭載されたが、Build 17741ではさらにアプリ起動の専用リンクがデスクトップに標準で置かれるようになり、Microsoftの力の入れようが伺える。

Your Phone 現在はWindows 10 Insider Previewの開発ビルドでのみ利用可能な「Your Phone(同期電話)」アプリ。Build 17741ではアプリ起動の専用アイコンがデスクトップに配置されるようになった

 さて、このYour Phoneアプリだが、なぜか突然開発ビルドではない製品版のWindows 10にも開放され、8月14日にWindows 10の「April 2018 Update(1803)」環境でMicrosoftストアからAndroid向けYour Phoneアプリがダウンロードできると米国で話題になった。そのため、Your PhoneアプリはRS5特有の機能ではなく、アプリ単体で細かなアップデートが行えるとの期待が高まった。

 しかし翌15日になり、開発担当であるMicrosoftのヴィシュヌ・ナス氏が配信を停止したことを表明し、Microsoftストアからアプリがすぐに削除された。実際、アプリがダウンロード済みであってもApril 2018 Updateとの組み合わせでは現時点で動作しないようだ。

 この理由が「RS5との同時リリースを予定していた」からなのか、あるいは「製品をリリースするには品質がまだ追い付いていない」のかは不明だが、恐らくRS5が一般公開されるまでは開発途上バージョンでのテストにとどめることになる。

スマホアプリ登場で「Sticky Notes」がWindowsと連携可能に

 モバイル連携はYour Phoneだけにとどまらない。付箋紙アプリの「Sticky Notes」もその対象になるようだ。

Sticky Notes Microsoftの付箋紙アプリ「Sticky Notes」

 Thurrott.comのメフディ・ハッサン氏によれば、MicrosoftはWindows 10向けに提供している「Sticky Notes」アプリの最新版である「バージョン3.0」の提供を間もなく開始し、UIやパフォーマンス面で大幅な改善が期待できるとしている。

 さらに同氏の情報源によれば、Sticky NotesはAndroid版とiOS版のアプリを2018年内に提供することを目指して開発しており、クラウドを通じたメモ書きの同期も可能になるという。これとYour Phoneと組み合わせれば、よりスマホとWindows 10の連携が便利になるというわけだ。

 これまでのMicrosoftはモバイルとPCの連携においてOfficeアプリ以外のものがイマイチで、日々の作業ツールとしては不十分だった印象がある。今後は、Microsoft純正、サードパーティーを問わず、さまざまなアプリや機能をこうした連携に組み込んでくることが予想される。RS5の新機能にとどまらず、2019年は「生産性ツールとしてのモバイル+Windows 10」を強くプッシュしてくるのではないだろうか。

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