続いてスマートスピーカーとの連携について見ていこう。先に結論から書いてしまうと、「Amazon Echo」や「Google Home」などスマートスピーカーとの連携は、評価はあまり高いものではない。
というのも、スマートスピーカーを使って行えるエアコンの操作は電源のオン・オフのみで、運転モード切り替え、温度・風量の調整、風向きの調整などの操作には対応しないからだ。
これはAlexaの「スマートホームスキル」を使っているが故の問題で、その代わりにデバイス名を音声コマンドに含めなくてよい(=音声コマンドがシンプルになる)という利点はあるのだが、競合製品の中にはスマートホームスキルとカスタムスキルという2方式をサポートすることで、温度調整や風量切り替えにも対応した製品があるので、本製品の機能はやや貧弱にみえる。
何より、本製品の売りである、運転状況のオン・オフをチェックする機能は、スマートスピーカーからは利用できない。電源操作のみの対応で「スマートスピーカー連携」に対応するといってしまうのは、間違いとまではいわないが、それにつられて購入したユーザーからすると、あまり誠実とは感じないだろう。
また、エアコンをAlexaから認識させる際、最初に「照明」として登録した後、「エアコン」という名称に変更しなければ、Alexa側から見つけられないという、初心者には恐らく理解できないであろう仕様もネックだ。
これは同社の「eRemote」などとも共通で、本来であれば裏技であるはずの手順が公式化するというおかしな状況が、Alexa対応から1年弱、そのままになっている。
クラウドファンディングの製品ページによると「今後対応してまいります」とのことだが、実質的にエアコン専用である本製品を(クラウドファンディングによる先行販売とはいえ)リリースする時点で対応しておくべきだろう。今後、一般販売が行われる際は、最低限これだけは対応を果たしたのを確認してから購入することをおすすめする。
以上見てきたように、他のスマートリモコンにはない付加価値はあるものの、それを生かし切っていない印象で、何とももどかしい。同社はシリーズ製品として、温度や湿度、照度などのセンサーを搭載した「eSensor」を用意しており、それらと組み合わせると機能の拡張は可能なのだが、温度センサーを内蔵する他社のスマートリモコンと比較すると、コスト的にもやさしくない。
また、本製品の強みである電力測定の機能は、基本的にスマホからの利用時のみ対応するので、スマートスピーカーからの利用が中心になるようであれば、選ぶ必然性があまりない。同じシリーズの「eRemote」「eRemote mini」と比べて機能が劣っているわけではないので、エアコン横への設置の収まりのよさを評価して本製品を選ぶという考え方はあるかもしれないが、やや寂しい印象だ。さまざまな意味でもう一声ほしい製品というのが筆者の評価だ。
余談だが、eRemote Proという製品名は、必ずしも製品の特性を表していない。一般的に「Pro」といえば上位互換のモデルを指すことが多いが、本製品は機能の多くがエアコンを想定したもので、いうなればコンセント直結型という、別のラインアップにあたる製品だ。この辺りを誤解するユーザーがいないか、少々気掛かりだ。
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