さて、仕様や性能は一通り見ることができましたので、そろそろ絵を描いていこうと思います。とはいえ、今回は4機種と多いので、ラフ以外は、ある1枚の絵の各工程を進めてみるというインプレッションにしようと思います。
性能チェックのカテゴリーかもしれませんが、ここで見ておきます。
Kamvas Pro 13はタブレット表面からディスプレイ面までが近く、視差が小さいです。それ以外は斜めからみるとややカーソルが離れているのが気になります。座標キャリブレーションをちゃんとして、安定した姿勢で描いていれば、どの機種もさして気になるものではないと思います。
よし……! もうなんか、いつもすみません。やっと描きます。
Cintiq 16は、自分が使い慣れたPro Pen 2なので差し引いて読んでほしいのですが、ほとんど何も言うことはありません。硬すぎず柔らかすぎないペン先の感触と、アンチグレア処理が滑らかで、摩擦に一貫性がある描き味はさすがです。ただし、ハードフェルト芯を選択できない点や表面の耐久性など、Cintiq Pro相当というわけでもありません。
Artist 15.6は反応も良くサクサクと描けますが、アンチグレア処理が荒いため、ザラザラした描き味になります。また、画面端近くでホバー時にカーソルがフリーズする問題がたまに発生して、発生すると復帰するまでに数秒無駄になることがありました。慣れるまではストレスかもしれません。また、色バランスの問題もあって、白付近の色バランスが不安定なため、無色で描いていてもラフが赤みがかって表示されていました。
Artist 16 Proも反応良くてサクサクと描けるのですが、光沢画面の摩擦がやや不安定で、気にしないでいることはできますが、気持ちよいとも言いづらい感触でした。画面は青白いものの、Artist 15.6と比べて明るい領域の色合いは安定しているので、ラフが変な色になったりはしませんでした。
Kamvas Pro 13もおおむね快適で、13.3型のフルHDの緻密感はやはり良いな、と感じました。15.6型の機種は手で描く距離ではフルHDは少しドット感が目立って、2560×1440ピクセルぐらいあってほしいと感じます。
ここで、Artist 16 Proでズームアウトして描いた線の出方にわずかに違和感があったので、微小な座標取得について調べてみました。Photoshop CCで、表示サイズを1%にまでズームアウトしたキャンバスに1ピクセルの線を描いて、それを数百%まで拡大することで、画面上で1ピクセルよりも小さい単位の微小な座標がどう取得されているかを観察します。
Artist 16 Proだけがかなり違う座標の出方になっていることが分かります。例えば、A4のキャンバス全体が表示されるような、大きなズームアウトで描いた場合、振りの速さや手振れ補正などの条件にもよりますが、気付きづらいとしても微妙な線の不安定さになることはあると思います。この方法、ちゃんとやったら実用上の分解能まで測れそうですね。
ここで、Cintiq 16では実描になって急に白付近のグレーが黄色がかる現象が発生しました。これが先の性能レビューで「ひっくり返るので保留」と言ったところです。
詳しく調べてみると、接続するGPUによってそれぞれ異なった問題が出るというものでした。
GeForceは1枚しか持っていないですが、クリーンインストール状態でも発生しました。Intel HD Graphicsは、新旧さまざまな3台のPC全てで同様に発生しました。クリーンインストール環境を作っている間、「あー。ワコム機材との付き合いってこうだよな……旧バージョンドライバいっぱい保存したりな……」とか思ってしまいまして。パソコンオタクでよかった……(よくなくない)。
というわけで、冗談は置いといて、GeForceの問題はGPU個体の問題、Intel HD Graphicsの問題は評価機個体の問題の可能性は残りますが、どちらもないに越したことがない問題です。購入を検討している人はチェックしておくとよいでしょう。
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