今年も世界規模のゲーム見本市「E3(Electronic Entertainment Expo)」がロサンゼルスで開催されました。ソニーが参加しなかったこともあり、あまりチェックしていませんでしたが、感想としては「ゲームの世界もNetflix化していくのか」というところです。
Netflixは、毎月支払う定額料金で動画をストリーミング(ダウンロードも可能)で楽しむサブスクリプションサービスです。
ゲーム業界でもサブスクリプションサービスは数年前からありますが、ダウンロードしてプレイするものが中心でした。“Netflix化”とは、ゲームも、PCやMac、スマートフォンなどにインストールしたアプリ(またはWebブラウザ)からストリーミングでプレイするということです(ゲームが遊び放題なのか、一部ゲームが無料なのかなど、サービスの内容はそれぞれです)。
ストリーミングでゲームを楽しむ大手のサブスクリプションサービスとしては、既にソニーの「PlayStation Now」があります。
日本では利用できませんが、Microsoftは「Xbox Game Pass」、NVIDIAは「GeForce NOW」(まだβ版なので無料)といったサービスを海外で提供しています。
そこに、E3の前からGoogleは「Stadia」を、Microsoftは「Project xCloud」を、Appleは「Apple Arcade」を発表しました。各社で内容は違ってひとくくりにするのはちょっと乱暴ですが、いずれもサブスクライブするとゲームをストリーミングでプレイできます。
E3ではさらに、ゲームメーカー大手のBethesdaがサブスクリプション制ストリーミングサービス「Orion」を、Ubisoftが初のサブスクリプションサービス「UPlay Plus」を発表しました。UbisoftのはEAの「Origin Access」と同様にゲームをダウンロードするサブスクリプションサービスですが、将来的にはGoogleのStadia経由で利用できるようになるとみられています。
E3では、スクウェア・エニックスもサブスクリプションサービスに参入するかもしれないヒントがありました(これがストリーミングなのかダウンロードなのかはまだ不明)。松田洋祐社長がGame Informerのインタビューで、ストリーミングサービスのための社内プロジェクトを立ち上げ、プラットフォームを横断して利用できるようにするよう取り組んでいると語ったのです。
少し前に動画のストリーミングサービスが群雄割拠状態だなぁと思ったばかりですが、今度はそれがゲームの世界でも始まろうとしています。
動画のストリーミングサービスもまだ、どこが勝つのか見えません。それぞれにどれだけ独占でキラーコンテンツを出し続けられるかにかかっていそうです。それは、ゲームも同じでしょう。
動画との大きな違いは、ゲームの場合は操作に対する画面表示の遅延が許されないこと。だから、遅延のないサービスを提供するためのインフラがしっかりしているかどうかは重要です。
その点、Azureを持っているMicrosoft、Microsoftとの提携を発表したソニー、Google CloudとTensorFlowを持つGoogleは強そうです。NVIDIAももちろん、そこがウリです。
ユーザーとしては、サブスクリプションの方式や特徴、価格がそれぞれ微妙に違うので、どこに入るか比較検討するのが大変そうです。ストリーミングサービスによっては専用ゲーム機を買わずに済みますが、やりたいゲームごとに複数のサービスにサブスクライブしなければならないとしたら、物入りなことになりそうです。
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