過日、編集部から「テレワークの参考に、仕事環境を記事で紹介してほしい」と依頼があった。最初に頭をよぎったのは“掃除しなきゃ”。取材者と交渉して家まで密着取材をするテレビ番組で「部屋が汚いからダメ」と断る人の気持ちがよく分かった。
加えて筆者は大した機材も使っていないし、特別なこともやっていないし……と思ったが、スゴすぎない事例の方が読者の役に立つかもと納得し執筆することにした。何が役に立つかと熟考し、テーマは「デュアルディスプレイと節電」。参考になるかもしれないのでお気軽にお付き合いいただきたい。
筆者の職種はちょっと“変”なので、サラリーマンからフリーランスになるまでの経緯を紹介しておこう。
最初に就職した会社は計測機器メーカー。「三次元測定機」なるものを営業して歩いていた。1980年代後半、仕事に必要と考えてNECの「PC-9801VM21」を購入した。これがある意味で転機となる。
その後、バブル崩壊の中でPC業界に転職し、1995年にメルコ(現在のバッファロー)の広報担当になった。2001年、同社を退職したメンバーと共に「イーレッツ」を立ち上げた。イーレッツで初めて世に送り出した製品は、USB接続の携帯電話充電ケーブル「充電一直線」だった。今でこそ珍しい製品ではないが、当時は“キワモノ”としてレビューするメディアが多かった。
その後、USB扇風機、USBクリスマスツリー、USB加湿器「キリー・ポッター」、PC静音化キット「駆動静かな」……など、今振り返ると“おバカ”な製品を企画したり製品化したりしていた。
2006年、他社の新製品発表を支援する「フリーランス広報」として起業した。その後はSSD、NAS、スマホの周辺機器、ゲームデバイス、フィギュア、B2Bのコラボレーションツール、B2Cのローンマッチングサービス……など、さまざまな製品の広報を手がけてきた。細々と生き残って間もなく15年目に突入する。
そんな筆者が、ライターとしても活動するようになったのは2000年頃から。とあるIT系メディアから執筆依頼を受けたことがきっかけだ。この当時はサラリーマンをしていたので、「副業」としての活動である。
フリーランスとしての起業直後、知人の編集者が自動車に関するWebメディアを立ち上げることになった。筆者は学生時代からサーキットで撮影をしていて、1986年の「モナコGP」で初めてのF1を撮影。1987年以降の「F1日本グランプリ」は“皆勤賞”だ。そのことを知っていた彼は私に「奥川さん、仕事で撮影しませんか?」と声を掛けてくださった。そこからは、カメラマンとしても活動するようになった(参考記事)。
ということで、筆者はフリーランスの「広報」「ライター」「カメラマン」という“三足のわらじ”を履くことになったのである。
メディア訪問、発表会の運営、サーキット撮影などの話は割愛して、今回は純粋に広報、ライター、カメラマンとしての仕事の話をしていく。
それぞれの仕事は、オフィスワークの“中身”が異なる。広報の仕事は、クライアント企業の新製品リリースをお手伝いする仕事だ。広報文の作成や資料作成など、いわゆる「事務仕事」となる。2つ目のライターとしての仕事は、ずばり「原稿の執筆」だ。カメラマンとしての仕事は、サーキットで撮った写真の選別とレタッチ(調整)を行う。
大別すると広報業とライター業ではWebブラウザ、オフィスソフト、テキストエディタを使う。カメラマン業ではフォトビューアーとレタッチソフトを主に扱う。広報業とライター業は、世間一般にいう「テレワーク」に近いと思われる。
主に使用しているPCは、Core i5-4430(3G〜3.2GHz、4コア4スレッド)を搭載する古めのデスクトップPCだ。いつ購入したかは覚えていない。メインメモリは24GB、ストレージはCドライブをSSDに換装して512GB、HDDは4TB+6TB+4TBの3台構成だ。グラフィックスカードも「NVIDIA GeForce GTX 750 Ti」と古めである。
このPCは元々、マウスコンピューター製だった。しかし、マザーボードも交換していて、オリジナルのまま使っているのはケース、電源、光学ドライブ、そしてCPUくらいなものだ。過去に新しいPCを買う気運が上がった時期があったものの、特に困っていないので主要パーツの換装や増設を繰り返しながら使い続けている。
ディスプレイはWQHD(2560×1440ピクセル)の27型ディスプレイをデュアル構成で使っている。新型コロナウイルスの影響でテレワークとなったサラリーマンの人には、このディスプレイ環境がそこそこ身近で、参考になるかもしれない。
机の広さは仕事の効率に直結する。新幹線のテーブルより事務机、事務机よりダイニングテーブルや会議室のテーブルの方が、さまざまな資料を広げることができて仕事の効率を上げることができるはずだ。それはPCの「デスクトップ」も同様で、ディスプレイの広さは仕事効率に影響する。
例えば筆者の場合、原稿を書くときは、テキストエディター、エクスプローラー、Webブラウザを2つ、Excelなどを並べたり重ねたりしながら作業することが多い。それ以外にはメーラー、Slack、Skype、LINEなどのアプリも起動している。
この環境では、画面を2つ合わせると5120×1440ピクセルとなる。使用するカメラと撮影設定によるが、筆者の場合は左右方向のAF(オートフォーカス)ポイントを等倍表示で画面内に入れられる。写真を選別するときに、多くの写真は等倍で表示しつつ、ピントの具合やブレをチェックできて便利だ。
撮影時のフレーミングによって等倍表示にすると被写体が画面の上下に収まらない場合がある。そのような場合は、フォトビュワーの表示倍率を1%単位で調整し、被写体が画面に入る状態で固定し、方向キーで次から次へと写真を切り替えながら、マウスをダブルクリックすると残す写真を選べる。写真の一部しか表示できないノートPCと比べると、構図によっては体感上は5〜10倍ほど早く選別ができる。
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