AppleのiPadは「完ぺきなすべり出し」、専門家が評価

» 2010年04月06日 13時35分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 米Appleは先週末、ファン待望のタブレット端末「iPad」を発売したが、週末の販売台数をめぐっては当初の予測がどんどん上方修正されており(アナリストの予測は20万台から70万台の範囲に広がっている)、長年休眠状態にあったタブレットコンピュータ市場を再び活性化させようというAppleの賭けはどうやら成功しているようだ。iPadはタッチスクリーン搭載のマルチメディアタブレットで、価格は499ドルから。何カ月も前から登場が待ち望まれていたが、ようやく4月3日に正式に発売された。J.P. Morganのアナリスト、マーク・モスコウィッツ氏は「iPadの発売が成功すればAppleの株価は300ドルを超える可能性もある」と予想しており、4〜6月期のiPadの販売台数を82万5000台と見込んでいる。

 ボストンとロンドンにオフィスを構え、Apple製品の販売とサポートを手掛けるTech Superpowersのディレクター、イアン・ブラントン氏によると、AppleはiPadで「完ぺきなスタート」を決めたという。実際、iPadの発売は米国のメディア各社に大々的に取り上げられた。「Appleは実に完ぺきなすべり出しを見せた。Apple社内でも今ごろ、大いに喜んでいる人がいるだろう」と同氏。

 ブラントン氏によると、Appleは発売初日の朝にすぐに品切れになる事態を避けることで、準備不足の愚かな会社と思われずに済んだばかりか、顧客が全米のApple直営店や家電量販店の外に何時間も行列し、端末を無事手に入れる様子を広く報道してもらえた。ブラントン氏によると、同氏の上司であるTech Superpowersの社長で創業者のマイケル・オー氏も、ペルーに向かう途中、マイアミで飛行機を乗り継いだ際にiPadを入手できたという。「おそらくペルーでは一番乗りのiPad購入者だろう」とブラントン氏は冗談っぽく語っている。

 発売が成功したところで、次の問題は、Appleがこの製品に対するユーザーの関心を維持できるかどうかだ。一部からは、iPadには「一般ユーザーにとってマストとなるような具体的な側面が欠けている」との指摘が挙がっている。ブラントン氏は4月中に発売が予定されている3Gワイヤレス対応のiPadに言及し、「当然のことながら、非常に興味深いのはこれがiPad販売の前半戦にすぎないという点だ。実質的には3G機能がiPadの人気を決めることになるだろう」と語っている。

 iPadはAdobe Flashを搭載しない点が批判されているほか、開発者コミュニティーでは、アプリケーション開発に関するAppleの厳格な(「過酷な」という言葉を使いたい向きもいるだろう)ポリシーが批判されている。ブラントン氏によると、こうした批判は無理もないことだが、問題はそれだけではないという。「Adobeはもっときちんと対応する必要がある。Flashの実装には何ら問題はないという態度を改めるべきだ。Adobeは基本的には、何が問題なのかについて一切説明せずにいる。だがAdobeは、自分たちが商品を販売しているのだということ自覚すべきだ。HTML5などの競合技術に取って代わられることにもなりかねないという点を認識する必要がある」と同氏は指摘する。

 細かなあら探しはいろいろできるが、iPadは使い勝手の良さとスピードが高く評価されているようだ。ブラントン氏は、iPadもiPhoneと同様、Appleによるハードウェアとソフトウェアのアップデートを通じて改良されていくものと予想している。また同氏によると、特にフィールドワークや家庭訪問を必要とする企業を中心に、一部の垂直市場がiPadに前向きな反応を示しているという。「わたし自身、現場に出ている身としては、iPadの方がノートPCよりもはるかに好都合だ。ノートPCは使うたびにシステムを起こし、ネットワークにつながなければならない」と同氏。「Appleは人々が望んでいるものを製品化することで、これまでに3度の不況を乗り越えてきた。Appleは確かな価値提案を行っている。価格も妥当だ。機能性や完成度を考えれば、価格をこれ以上大幅に下げることはできないだろう。そして確かなのは、Appleがこの先、さらにより良いモデルを投入してくるだろうということだ」とさらに同氏は続けている。

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