ニュース
» 2011年11月01日 11時00分 UPDATE

先生はアイドルの卵たち――異色のスマホ教室、登場の背景は

1対1の対面式、講師を務めるのは役者やモデル、アイドルの卵たち――。こんなユニークなスマートフォン教室が登場した。異色のスマホ教室が生まれた背景には、意外なニーズの合致があった。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo スマートフォン教室の講師を務める琴菜さん

 iPhoneやiPadを使いこなせずスマートフォン教室に駆け込むと、講師はアイドルの卵だった――。これがドラマや漫画ではなく、現実にあるというから驚きだ。

 フロンティアが試験的にスタートしたスマートフォン教室は、初心者を対象に1対1の対面方式で各種機能やアプリの使いこなしを教えるもの。講師を務めるのは芸能界で活躍することを目指すアイドルや役者、モデルの卵たち。受講者は気に入った講師を指名することも可能だ。

 なぜ、このような教室が生まれたのか、講師の実力はどの程度のものなのか――。スマートフォン教室の運営と講師の教育を手がける、フロンティア ITビジネスライセンス事業部 モバイルITコンサルタントの松村健久氏に聞いた。

すきま時間を生かしたい“タレント予備軍”を講師に

Photo フロンティアの松村健久氏

 サービスが生まれるきっかけについて松村氏は、親会社のユニバーサルソリューションシステムズがスマートフォン向けサポートサービスを拡充しようと考えたことだったと振り返る。

 同社はスマートフォン向けに、PCを使った遠隔サポートサービスを提供しており、サービスを提供する中で“本当にスマートフォンを使いこなせていない人は、サポートサービスすら利用できていない”ことが分かってきたという。

 周りに使っている人がおらず、教えてもらうこともできずに困っているユーザーを支援するには、対面で教えるのがいいのではないか――。こう考えて企画したのが、受講者が好きな時間に学べる対面式のスマートフォン教室だった。

 どんな講師を集めるかを考える中で白羽の矢が立ったのが、アイドルや役者、モデルの卵たちだ。いつ仕事が入るか分からない彼らは、すきま時間のバイトで生計を立てているケースも多く、成功するまでの生活が不安定になりがちだと松村氏。講師の仕事ならすきま時間でも働きやすく、スマートフォンに関する知識やスキルも身につけられる。スマートフォンがもてはやされる昨今、このスキルは本業で役立つ可能性もあり、引退した後の仕事を考える上でも有効に働くだろうと考えたわけだ。もちろん「話題性を意識した上での選択」(松村氏)というのも本音だ。

 人材教育事業も手がける同社は、携帯電話ショップに派遣するスタッフの教育プログラムや、ソフトバンクモバイル端末の訪問販売資格を取得するための教育プログラムを持っており、それを利用して講師を目指すタレントたちの教育を開始した。

 最初の募集で集まったのは総勢400人の女性たち。しかしその中で、全プログラムをこなして試験に合格し、講師として認められたのはたったの15人だった。「研修についていけなくて脱落した人もいれば、研修を進めるうちに適性がないことが分かって辞めていった人もいる。受講者はIT機器に不慣れな年配の人も多いので、言葉遣いやビジネススキル、コミュニケーション能力も重要になる」(松村氏)というように、講師への道は生半可な覚悟ではくぐれない狭き門だったようだ。

 講師として認められた15人は、フロンティアから「スマートガールズ」に認定され、スマートフォンの講師として、また、スマートフォン関連イベントのエバンジェリストとして活動している。

スマートガールズのメリットは

Photo 「講師の仕事は、やりがいがあります」と話す琴菜さん

 琴菜さんは、スマートフォン講師として活躍中のスマートガールズの一員だ。教わりに来る人は、“買ってはみたものの、どう使えばいいのか分からない”“何が分からないかが分からない”といった人が大半だという。「使う楽しさを分かっていないことが多いので、一緒にアプリやFacebookを使ってみるところから始めます。Facebookは、音信不通になっていた知人や同級生が見つかることもあるので、興味をもっていただけるようです」(琴菜さん)

 使い方が分からない人をいかに楽しませるかは、自分が持っている知識にかかってくるため、新しいアプリや機能を積極的に試し、知識を深めることが大事だと話す。また、講師は能力によって4つのランクに分けられ、ランクが上がると時給も上がるので、それも励みになるという。

 スマートガールズのメリットは、スマートフォンのスキルを学べることや、スマートフォンに強いタレントであるとアピールできること、すきま時間を有効に使えることなどが挙げられるが、これに加えて「端末の販売資格を取得できるのも大きい」と琴菜さん。講師になるための講習には、ソフトバンク端末の訪問販売資格の取得プログラムも含まれており、この資格を得ることで知り合いや親族、友人などに個人代理店として端末を販売できるようになる。「スマートフォン教室とiPhone販売で収入が得られ、それが生活の足しになるのはありがたいですね」(琴菜さん)

今後は「スマートボーイズ」も

 現在は新宿と池袋のみで展開しているスマートフォン教室だが、大阪や名古屋など、関東以外からの問い合わせも増えていることから、「今後は全国各地でのフランチャイズ化を目指したい」と松村氏。スマートガールズも1000人規模まで増やし、より幅広いニーズに応えられる体制にしたいと話す。講師もガールズだけではなく「要望があればボーイズも検討したい」(松村氏)と、拡大展開を図っていく考えだ。

マンツーマンでじっくり学べるのが魅力

 スマートガールズのスマートフォン教室は、フロンティアオフィス(新宿/池袋)のワンフロアを使ったオープンスペースで開催している。受講者は30代〜60代を中心に幅広い世代が集まっており、女性の利用も多いという。

 受講希望者にはあらかじめヒアリングを行い、何を学びたいかを事前に把握した上で当日の授業を組み立てる。授業の内容は、スマートフォンの基本的な使い方から、電話やメール、Web、アプリの利用法、音楽プレーヤーの使い方、電子書籍の活用法、SNSの活用まで幅広いテーマから選べる。「子供に受けるアプリ」「業務で使えるアプリ」「部下に自慢できるアプリ」といった授業も用意されている。

 授業の内容に応じて最適な講師が割り当てられるが、受講者が講師を指名することもできる。授業の1コマは30分で、講師の時間が空いていれば、2コマ、3コマを連続で受講することも可能だ。

 料金は入会金が1万円、授業料が30分3000円。現在は1対1の対面授業のみを行っているが、今後は2〜3人のグループ授業なども検討しているという。



Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.