アクションタグを利用してますか? クリック率だけに注目してませんか? ――SEOやSEMを改善したくても、素人担当者だけでは改善策も浮かばない。自分たちだけでできるチェックポイントを5つ紹介します。
SEO(Search Engine Optimization)やSEM(Search Engine Marketing)を改善したくても、一緒に施策を考える広告代理店などのパートナー企業を簡単には見つけられない現在。まず自社だけでできる改善策は、どのような方法があるのだろう。
まずは下記でリスティング広告の流れを確認しよう。もし実際に担当している人は、どの数値を持って結果報告をしているのか、改めて振り返っていただきたい。
ケース1の担当者と同様の悩みをお持ちなら、以下のようなチェックポイントに従って何が改善できるかを明らかにしていこう。
基本的なことだが、オンラインマーケティングに不慣れな担当者は、意外とコンバージョントラッキング機能を知らないケースが多い。「広告は誘導するもの」「インターネット広告はクリックされてナンボだ」というところに集中してしまい、実際のユーザーアクションが、どの広告から来たのかまで知ろうという気にはならないのだろう。前回、ケース1として紹介した担当者も、Google AdWords、Overtureそれぞれに、アクションタグによるコンバージョントラッキングの機能が備わっていることを知らないと思われる。
ちなみに、各ツールからアクションタグを発行することは無料で ある。そのアクションタグを、自社の申込み完了ページや成果ページ(一般的にThankyouページと呼ぶ)に埋め込むだけで、どのキーワードから何件申し込みがあったのか、1つ1つカウントできるのだ。
ただし、その前に何をカウントすればマーケティングデータとして有益な指標になるのか、その成果となる数 字を何に設定するのかを事前に決めておく必要がある。例えば、購入申込、会員登録、資料請求、見積依頼、リード獲得など、今後のキャンペーンも見据えて、効果検証する上で長期的に使える指標を決めなければならない。そして、その成果と見なすページを用意もしくは決定し、そこにアクションタグを埋め込むというわけだ。
先の担当者は、コンバージョン件数をカウントできていなかったがために、広告が良かったのか悪かったのかを、広告のクリック率やクリック数でしか評価できない。クリック数の多かったキーワードが最良だと評価されている現状で、もしもそのキーワードからのコンバージョン件数が少なかったとしたら、結果「クリック数が多い=かかった費用も大きい」となり、実際は予算の無駄遣いにつながってしまうことになる。
コンバージョン率の向上を目的にすると、CPA(Cost Per Action)いわゆる成果単価を指標とした、まったく新しい運用アイデアが生まれる。さらに、まったく予想もしていなかったキーワードが高い評価を得たりする可能性も生まれるだろう。
例えば、特定のエリアからしかコンバージョンしない場合は地域指定もできるし、もし週末にコンバージョンが獲得できていなければ、平日のみの配信に設定したり、日中しかコンバージョンを得 られないのであれば、夜を除いた就業時間に絞った広告配信に絞り込むことなども可能だ(Google AdWordsのみ)。
自社のサイトにアクセス解析ツールを導入しているのなら、流入経路として検索サイトがあることが分かるはずだ。そこで、何のキーワードで検索されて訪れているのか確認してみるのもいいだろう。こちらの都合で購入しているキーワードとは違った、意外なキーワードの発見や発想が生まれるかもしれない。
さらに、顧客がサイト内をどのような遷移で行動したか、どのような説明文に反応して次のリンクをクリックしたのか、それを全体設計と詳細ページ内に分けて分析をしていくことで、顧客のインサイトが見えてくることがある。そこで見えてきた、反応の良い言葉をキーワードと組み合わせて購入したり、広告文にその言葉を盛り込んだりと、コンバージョン増加に向けた新たなアイデアにつなげられるようになる。
リスティング広告でコンバージョン率をアップさせるには、「キーワード」「広告文」「ランディングページ」――の3点のマッチングに尽きる。
キーワードと広告文をマッチングさせるところまでは、パートナーから入手するリポートの具体的な数値から改善施策が随時打てるため、比較的簡単で あると言えよう。しかしランディングページともなると、すでに設計、完成されたものありきで、その後に広告を検討することが多いため、広告からのマッチン グがなかなか難しい。
とはいえそこを先回りで準備し、ユーザーが求める情報によってランディングページを出し分けできるようなサイト設計にすれば、コンバージョン率をさらに改善できるはず。欲を言えば、キーワード毎にランディングページを差し替えるぐらいのことをしたい。
ページを用意するのには制作費がかかるし、場合によってはサイトの詳細な現状分析も必要になるので、そう簡単にはいかないのが実情だが、もし実行できたなら、顧客は自分の求めていた情報にストレスなく誘導されることで、いつの間にか商品に魅了されながら、コンバージョンに向けてグングン進むようになるわけだ。これまで途中で離脱していたであろう見込顧客を、うまくすくいあげることで獲得件数を増やせるのである。
次回は、5番目の「リスティング広告とディスプレイ広告の相乗効果を活用」について説明しよう。
電通レイザーフィッシュのシニアメディアプランナー。1973年静岡県出身。日本大学経済学部卒。広告会社の営業として、マスメディア、OOH(Out of Home)メディア、セールスプロモーション、イベントなどでのコミュニケーションプランニングおよびクリエイティブディレクションを7年間経験した後、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムに入社。入社と同時にアサツーディ・ケイ(現ADKインタラクティブ)に出向。多数の大手クライアントのインターネットメディアプランニングを約4年間経験し、2007年12月より現職。
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