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» 2012年02月15日 11時00分 公開

説明書を書く悩み解決相談室:障害調査報告を通して「上司の視点」をイメージさせる方法 (2/2)

[開米瑞浩,Business Media 誠]
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井口 これは……。

開米 先ほどの報告書を踏まえて、それを読むときの上司の思考プロセスをたどるように組み立てた質問チャートです。

井口 あ、なるほど。そういえば。

開米 例えば、A列、図中のオレンジの部分ですが、試しにここだけを書くと「商品の食味異常クレームは事実と判明したため対策が必要です。Sチェーンの流通に問題がある可能性が疑われます。Sチェーンの重点調査をするべきです」となりますよね。

井口 そうですね。ええ、それだけ分かれば会社の役員にとっての最初の判断の手掛かりとしては十分です。

開米 そこまで聞けば気になるでしょうし、気になったら詳しいことを突っ込んで知りたくなるでしょう。そこでB列以下の情報をすぐに参照できるようにしておけば良いわけです。

井口 A列とB列を区別して書いておけと……?

開米 そういうことです。上司はまずA列を知りたいはずなのに、AとBを一緒にして書いてるから分かりにくくなるわけで。

井口 確かに。ええっと、じゃあ、残りを埋めてみると……こう、ですかね?

開米 はい、元の報告書に比べるとだいぶ情報量を減らしていますし、多忙な役員さんでも短時間で判断できるようになりました。後は必要に応じて細部をガンガン突っ込んでもらえれば良いわけです。

井口 なるほど……で、私からこれを部下に質問しろ、と言われましたか?

開米 はい、これを井口さんが書いてしまうと部下が成長しないので、質問だけ振っておいて自分で考えさせるんですよ。

井口 なるほどなるほど。うん、こんなふうに聞けば、考えさせられるかな。

開米 障害調査をするときって、よくこういう思考プロセスたどりますよね。

井口 ええ、まさに。そうか、だったら一度これをやっておくと応用が効きそうだな……。

開米 そうあってほしいですね。こうやって「型」を示して、中身は自分で考えさせる、というワークを何回かやると、上司視点もだんだんイメージできるようになってきますから。

井口 それ、大事です!

 というわけで今回の相談も完結です。報告書というのは、人に判断をしてもらうためのものですから、判断をする人の思考プロセスに沿って、判断しやすいように書く必要があります。しかし、判断をする立場に自分が立たないうちは、なかなかその思考プロセスの想像が付きません。

 それをイメージできるようにするために有効なのが、今回のような「上司視点での質問」パターンを用意して考えさせる方法です。障害調査はどんな会社でも必要ですし、思考力、コミュニケーション能力が問われるものです。さらに、案件が上がってからの思考プロセスも今回のサンプルのようにある程度共通パターンが存在することが多く、一度それを知っておくと応用が効きます。ぜひ、試してみてください。


 当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」という相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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