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» 2009年07月03日 16時13分 公開

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:ビジネスパーソンの臨時収入、公募で執筆の武者修行

ビジネスパーソンが会社以外に収入を許されているのは何だろうか? 株式を売買したり、ギャンブルに興ずることもあろうが、ちょっと気が引ける。文章力を高めるのであれば公募にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 ビジネスパーソンが会社以外に収入を許されているのは何だろうか? 勤務時間の売買は問題があるが、株式による副収入は一般的に認められている。ギャンブルだが競馬、競輪などもあるだろう。しかし、勤務時間内に馬券を買いにいくのも許されるものではない。パチンコも自分の勤務時間外なら文句は言われない。

 ほかに何があるだろうか? それは公募からの賞金だ。

 世の中には、さまざまな公募が発表されている。論文などに加えて、文芸関係として、小説、エッセイ、短歌、俳句、川柳ネーミング写真系や絵画などもある。これらには金額の大小で、数百万円から記念品まで、ありとあらゆるものがある。書くことが面白くなってきたビジネスパーソンは、ぜひとも挑戦してみたらどうだろうか。

 公募を見つけるのに最も一般的なのは専門誌を見ることである。いくつかの雑誌があるが、もっとも代表的で伝統的なのが、『月刊公募ガイド』である。最近だとGoogleなどで検索してもいいかもしれない。

 こうした公募の論文で注意しなければいけないのは、自分の会社や仕事に関して書くこと。会社の機密を漏らすと思われたりするので問題が起こる恐れがある。あくまで一般的な課題に挑戦したほうがよい。

 筆者がよく投稿していたのは1990年代の後半。21世紀を迎える前に「21世紀の〜」というタイトルで、数多くの公募が出ていた。筆者はこれらの「21世紀シリーズ論文」と名付けて、できる限り投稿に挑戦することにしていた。

月刊公募ガイド

 当時、千葉大学からアイデアマラソンの1泊セミナーを頼まれた。参加者は学部生と院生14名ほどだった。セミナーの開催が3カ月後だったので、参加者に公募ガイドに出ているエッセイのタイトルを4件選んで、それらの1つを選択し、エッセイをメールで筆者に送るように指示した。

 それらのエッセイは、締切がいずれもセミナーの2週間ほど前に、締切となるものばかりを選んだ。

 筆者のところに学生たちからエッセイがどんどん送られてきた。一読して、学生たちが単なる理念だけを訴えているものや、どこかからのコピペは拒絶し、書き直しを要請した。あくまで自分の体験、自分の視点を持ったものに書き直せと伝えた。

 そのための一つの手段として、日ごろからの観察や思いつきをノートに書くというアイデアマラソンの手法を説明したのである。筆者の学生たちへのエッセイ指導の基本は、

  1. オリジナルな内容、特に自分の体験を書くこと
  2. 日ごろの発想を思いついた時点でノートに書き留めるというアイデアマラソン的な考え方でエッセイのネタを探すこと
  3. 出だしの一行は短く明確に、注意を引くものであること。
  4. エッセイの内容を筆者は訂正しないし、関与しないが、文章の基本的なミスや構成などは指導する。
  5. 執筆では、指導者も指導されるものも平等であるから、筆者もエッセイを書く

 こうして毎日毎日、学生たちからエッセイがどんどこ送られてきた。当時、学生たちは研究室に泊りこんでいたのではないだろうか。夜中にメールが入ると、筆者は寝床から起き上がって、指導のコメントを学生たちに送った。1人平均6回ほど送ってきたから、無茶苦茶忙しかった。

 そして14名の学生たちは、4種類のエッセイのどれかを無事に応募を完了させた。2週間後に、筆者のアイデアマラソンのセミナーがあり、学生たちと和気あいあいの話ができた。みんなエッセイ執筆の戦友のようになっていたからだ。

 アイデアマラソンのセミナーが終わって、2カ月ほど後、2人の学生たちから知らせが入った。「入選しました。○×のエッセイです」と喜びの声だった。2人の学生たちはいずれも2等賞だった。「これで両親を旅行招待できます」というのもあった。14名中の2名が入賞したのだった。エッセイは、オリジナリティと体験が命だということ。

 ただその直後に2人の学生たちは絶句。筆者が両方の公募の1等賞を取っていたことを伝えたからだ。

今回の教訓

 先生、ずるいや――。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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