――倒産確率が下がった今、取り組むべき課題は?
この春からコストを削減し、スタッフもギリギリの稼働でシフトもタイトになっている。ゆっくり休んで体力を回復する機会が必要だ。7月からのGoToトラベルで、現場はかなり忙しくスタッフにも疲弊感がたまっている。来年の春にはゴールデンウィークが、夏にはオリンピックも予定されている。
コロナ以前から施設の稼働が落ちる時期には、一定期間施設をクローズして一斉に休暇取得をできるようにしていたが、今期も実施をすべく準備中だ。星野リゾートでは、観光業を一流の産業にしようということで年間休日数を110日としているが、その消化をできていない人も多い。
――厚生労働省の調査では、宿泊業・飲食サービス業の年間休日数は97.1日と、どの業界よりも低い。そんな中で年間110日とは、かなりの好待遇ですね。
1990年代、家業を受け継いだ時に、社員のリクルーティングがとにかく大変だったことが根本にある。5年ほどかかり、やっと新卒採用で優秀な方にきてもらうことができるようになった。
星野リゾートの社員は、マルチタスクで仕事をしている。マニュアルがあって、ルーティンワークをしているわけではない。誰でもいい訳ではなく、観光が好きで、機転の利く、観光の魅力を知っている、そういった人材がいないと、星野リゾートらしい運営は成り立たない。星野リゾートのスタッフは、例えるなら、大事に育てて代替のきかない野球選手。だからスタッフの離職は、星野リゾートにとっては最大のロスになる。会社で長く働いて欲しいし、その為にはワークライフバランスが大事だ。従業員満足度調査をとり、異動の希望もできるだけ応えるように努力している。
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