ワークマンは“環境にもユーザーにもやさしい企業”を目指し、今年から地球環境への負荷が少ない事業モデルと製品開発を強化する。同社のサステナブル製品は今年で43品目となり、年間売上高は100億円を突破する。
サステナブル路線を推進する同社が一押しする製品が“空気を着る”エコ防寒着「ポンプウェア」だ。ポンプウェアは動物や植物由来のダウンや中綿を全く使わず、空気で保温する。浮き輪を中綿の代わりにしたようなもので、暖かさは空気を入れる量で調整できるようにした。
ポンプウェアの特徴は、高い防寒性能と軽さを同時に実現していることにある。空気の量によって保温力を調整できるため、空気を全て抜くと秋と初冬用のウェアに、空気をフルに入れると厳冬期の重防寒ウェアになり、ロングシーズンで使用できるようにした。
また縫い目のないシームレス溶着加工で冷気の侵入を防ぎ、裏地のフリースと防寒生地によって防寒性能を強化している。
ポンプウェアのジャンパーとパンツを同時に着ると、「寝袋」の代わりになるようにした。ジャンパーのフード部分にも空気が入るため、フードを被らずに頭の下に敷くと「枕」の代わりになること、空気を抜くとコンパクトに畳めることから災害時の備えにもなるように設計してある。
さらにポンプウェアのベストとジャンパーは、同社の防水レインパーカーやアウトドアジャンパーとファスナーで「合体」(Attachment System)させ、防水機能を持つ防寒ウェアにすることも可能だ。レインパーカーと合体させると、同社製品の中で最軽量の「防水防寒」ウェアになる。
昨年ポンプウェアのベストをテスト販売したところ、「今まで買った中で一番軽い防寒ウェア」「空気をフルに入れるととても暖かい」「空気を抜くと普通のベストになる」と好評を博し、入荷後に即完売となった。
ただしポンプウェアの空気の充填に使うウェアと、一体型の「空気入れポンプ」が小型で、空気をフル充填するには2分程度かかり、「不便だ」との声が寄せられていた。そのため今年の改良モデルには小型ポンプ以外に、長さ10センチほどの分離型の付属品を採用。より短時間での充填が可能になった。
なおワークマンではサステナブル製品の投入以外の環境対策として、廃棄率に重点を置く。同社のPB製品は平均寿命を5年と長め(アパレルは通常1年)に設定し、廃棄を減らしている。とはいえ作業服などの製品の切り替え時には廃棄が出やすく、Sや7Lなどの端サイズや差し色製品が売れ残る場合がある。しかし全売り上げに対する廃棄率は0.6%以下と、低い数字を誇る。その他、同社では梱包資材の簡素化も進めている。
ワークマンは「当社はもともと『防寒衣料』に強く、厳冬期になると売り上げが上がっていました。しかし最近の暖冬傾向によって厳冬期用の重防寒衣料の販売が伸び悩んでいることから、今年から地球温暖化対策に全社で取り組んでいます。初年度の売り上げ金額的には多くはありませんが、製品拡大とポンプウェアのような防寒衣料が開発できたことが成果だと考えています」とコメントした。
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