――21年の日本での業績はどうなると考えていますか。
年初は外出自主規制など規制が厳しく、業績は厳しいものでした。ですが、6月の記者会見で、上半期で見れば市場は戻りつつあると述べました。今年はこの流れから昨年比で2桁の売り上げ増を期待し、輸出についても回復するとみています。
――日本の自動車メーカーは半導体の供給不足で減産を強いられています。ボッシュはその影響を受けていませんか。
半導体の供給がタイトになり影響を受けています。コロナ禍の影響だけでなく、米国の吹雪や日本の半導体工場での火災などさまざまなことが影響しています。
また外出自主規制によって自宅にいる時間が長くなったためテレビやゲーム機を買う人が増えました。あるいは在宅勤務が増えて2台目のパソコンを買う人も増えています。こうした需要増により電気、電子デバイスの販売が増えたため、ほかの業界との間で半導体キャパシティーの取り合いになりました。これが半導体不足の要因だと思います。
――半導体不足に対して、ボッシュはどんな対策をしていますか。
最大限の努力をして半導体のメーカーと協力して供給の平準化に努めています。同時にボッシュは自動車コンポ−ネントメーカーとしては数少ない半導体の内製化に取り組んでいます。すでにドイツのロイトリンゲンには半導体のファブ(工場)があり、6月に旧東ドイツのザクセン州ドレスデンに新しいファブをオープンしました。
ザクセン州は欧州有数の半導体ハブになっています。われわれはこのファブでASICと呼ばれる特定用途向けの半導体を設計、試験、生産しています。しかし、必要な半導体を全て作れるわけではなく、マイクロプロセッサなどは全て外部から購入しています。いずれにしても、これからは半導体のサプライチェーン(部品調達網)をさらに堅牢なものにする必要があります。
またボッシュは、微小な電気機械システム「MEMS」と呼ばれるセンサーの技術に優位性を持っており、得意としています。皆さんが持っているスマートフォンの3台のうち2台にはボッシュのセンサーが搭載されています。このセンサーが、例えば地球の重力に反応して画面のタテヨコ変換などを自動的にできるようにしています。
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