レビュー
» 2011年04月27日 21時35分 公開

純度を高めたさらなる進化――iPad 2は“ライフスタイルに浸透”する(3/3 ページ)

[神尾寿,ITmedia]
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A5チップの力で、“創造するコンピューター”にも

 一方、iPad 2の性能面に少し目を向けると、今回の進化では、iOSデバイス初のデュアルコアCPU「A5チップ」搭載が目玉となっている。今のスマートフォンやタブレット端末でデュアルコアチップを搭載するモデルはまだ少なく、単純にハードウェアスペックに注目しても、iPad 2はトップレベルの性能を持っている。

 しかし、誤解を恐れずにいえば、一般的な利用シーンでは、このデュアルコアA5チップの恩恵を実感することはあまりなかった。もちろん、Webのレンダリングや各種アプリの動作、動画の再生開始までのスピードを細かくベンチマークテストで比較したら、iPad 2は確実に速くなっているのだろう。だが、先代のiPadも一般的なネットやアプリ、コンテンツの利用では、十分に快適かつスムーズだった。iPadですでに「インターネットやコンテンツに触れているような」独特の操作感やなめらかさ、気持ちよさを実現していたため、iPad 2の速さをこれまでと同じ利用シーンで実感しにくかったのだ。

 では、筆者がiPad 2の速さを実感したのはどこか。それは「iMovie」と「GarageBand」の利用においてであった。

 iMovieは動画クリップから映像コンテンツを作るためのアプリであり、iPhone 4の発売時にリリースされている。これをiPad 2で使うと、広いスクリーン上で、動画クリップや音声ファイルを指でタップしながら、簡単にホームムービーを制作できる。エフェクトや効果音をつける、といったことも自由自在だ。通常、こういった映像編集は高いCPUパワーを使うため、高性能なパソコンでないと快適に利用することができなかった。しかし、iPad 2ではサクサクと編集でき、動画ファイルの書き出しもすばやく終わる。ここでデュアルコアA5チップの“速さ”を体感した。

 また音楽制作ソフトの「GarageBand」では、さまざまな楽器を用いた作曲・編集・レコーディングをアプリで行うことができる。初心者向けの自動演奏モードも用意されているが、まじめに曲作りをすれば、いろいろな楽器を用いて最大8トラックのレコーディングを行うことも可能だ。これもまたiMovie同様に、従来であれば高性能なPCがないと快適なスピードで動かないものというイメージだが、iPad 2ではサクサクと動くのである。

PhotoPhoto iPad 2では「iMovie」も快適に利用できる。「GarageBand」で本格的に作曲・編集・レコーディングなども可能だ

 iPad 2は、iPad同様に「コンテンツ消費・ネット利用」といったカジュアルなニーズに快適に応えられるだけでなく、従来であれば高性能PCの領域だった「コンテンツ創造」というクリエイティブな用途にも使える。しかも、PC/Mac用のソフトよりも、iPad 2用のアプリの方が直感的に操作できて、誰もが気軽に利用できる。むろん、本格的なクリエイティブ用途にはPCやMacの方が向くだろうが、家族でホームムービーを作る、曲作りで遊ぶといった使い方なら、iPad 2でも十分だ。ここでA5チップの真価が発揮されるのである。

 このようにiPad 2では本体の基本性能が大幅に向上しているが、一方で、バッテリー利用時間は従来の最大10時間から減っていない。「バッテリーの残り時間は気にしなくていい」という先代からの美点が維持されている点も、高く評価できるだろう。

iPadが目指す進化の純度が高まった

 iPadが目指している方向性は、「誰もが気軽に、コンテンツやネットを利用するスタイル」だ。それは従来のPCやMacだけでは果たせなかった世界であり、iPhoneとともに切り開いている未来だ。iPad 2ではこのコンセプトの純度がさらに高くなり、先代以上に「ライフスタイルに浸透する」ものになった。iPad 2には、生活を豊かに変える力がある。

 iPad 2のバリエーションは2つ。3G内蔵で通信契約と毎月の通信料が必要だが、プッシュメールやクラウド利用がしやすい「Wi-Fi + 3G版」と、Wi-Fi通信のみだが通信契約不要で購入できる「Wi-Fi版」である。プライベートからビジネスまでiPad 2をフル活用したいという人にはWi-Fi + 3G版がお勧めだが、最近は街中の公衆無線LANスポットも増えてきているので、自宅やオフィスでの利用が中心ならば通信契約不要で気軽に購入できるWi-Fi版も選択肢に入るだろう。モバイル用にWi-Fi + 3G版を購入し、自宅のリビング用として安価なWi-Fi版を買うというのも検討する価値がある。

 iPad 2がコンピューティングとネットの世界を、どれだけ変えていくのか。期待を持って見守りたい。

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