いわゆる人々の活動やモノの動きに関するデータは、以前からビジネスで活用されてきましたが、なぜいま「ビッグデータ」と呼ばれ、これほどまでに注目が集まっているのでしょう。それを理解するヒントとして、ここでその背景を整理してみましょう。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
今やビジネスや生活のあらゆる場面にITが浸透し、日々、膨大なデータが生み出されています。また、IoT(Internet of Things)の広がりが、生み出すデータをなお一層拡大しています。
創出されるデータは規模だけではなく、種類も多様化しています。Facebookでやりとりされる文章や写真、YouTubeの動画、スマートフォンやモノから生み出される位置情報やセンサーデータも増え続けています。これらのデータは、企業の業務システムが扱っていた表に整理できるような形式のデータとは異なり、さまざまな形式のデータの集まりです。
膨大な量、急激な増加、多様な形式――。このような特徴を持つデータが、「ビッグデータ」です。
大企業やネット事業者は、以前からこのような膨大なデータを扱っていました。しかし、それらを解析し、そこにある規則性や関係性から、ビジネスに役立つ洞察を得るような使い方をするのは困難でした。なぜなら、分析には高速なコンピュータや、大容量の記憶装置などのハードウェアが必要となりますが、高額でなかなか使えなかったのです。また、データベースや解析ツールなどのソフトウェアも表形式のデータなら扱えましたが、桁違いに膨大で多様な形式のデータを扱うことを想定した作りにはなっていませんでした。
しかし、ハードウェアのコストパフォーマンスの改善と、それらのデータを安価に効率よく扱うことができるソフトウェアの技術的革新が進み、「ビッグデータ」が扱えるようになりました。「ビッグデータ」に注目が集まるようになった背景には、こうした状況の変化があったのです。
ビジネス環境の変化が激しく、先行きが不透明な時代においては、「ビッグデータ」への関心がさらに高まると予想されます。膨大なデータを駆使して市場の変化や状況を迅速・的確に把握したり、新たな知見やノウハウを生み出したり、個々人に最適化された広告・宣伝を行ったりするといった需要が増加するからです。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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