S/N比(Signal to Noise ratio)とは、S(信号)とN(ノイズ)の比を対数であらわしたもの。SNRとも呼ばれ、映像や音声、通信回線などの品質をあらわす数値として用いられる。単位にはdB(デシベル)が使われる。
例えば、オーディオの出力で音量を大きくするためにボリュームを上げると、それまで聞こえなかった雑音が聞こえ出すことがある。これは信号が大きくなるに伴って雑音も大きくなったためで、信号と雑音の比率そのものに変化はない。
信号に対する雑音の割合が小さければ、音量を大きくしても雑音はあまり聞こえない。理論上では雑音がなければ、SN比の数値は限りなく大きくなるわけだが、現実には雑音の発生しない機器はなく、オーディオCDで90dB程度といわれている。
特にデータ通信の世界では、雑音の存在は信号の流れを阻害する一因だ。雑音により相手に届けられなかった信号は、そのたびに再送などの処理が必要になるため、全体のスループットが下がってしまう。同様に、デジタルAVの世界では画質や音質の劣化につながる。
携帯電話にCDMA方式が用いられるようになったのは、伝送効率の向上を狙ってのものだ。CDMAでは、送信側の信号出力を小さくして広帯域に拡散して通信を行う。途中の伝送路で乗った雑音はそのまま信号と共に受信側に運ばれるため、SN比も低いものとなるが、逆拡散によって信号と雑音の帯域幅と大きさが入れ替わるため、SN比は従来の方式よりも高いものになる。
なお、実際にSN比の数値を扱う際には、それが電力で計算されたものか、電圧、もしくは電流で計算されたものかの判断が必要になる場合がある。
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