沈黙を破る鷹山〜VSフォンの真相Interview

» 2004年04月28日 23時57分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 鷹山は、謎の多い企業だ。2002年にアステルブランドのPHS網を買収して注目されたが(2002年4月1日の記事参照)、その後はこれといった施策を打ち出せず2年が経過した。そのアステルグループはといえば、各地でサービス終了が続いている。鷹山は最近になって32K/64Kの定額データ通信サービスも断念しており(3月31日の記事参照)、加入者にとっては心細くなるような状況が続いている。

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 一方で最近になって、DDIポケットとのローミングを発表し(4月27日の記事参照)「より高速な定額制サービスも検討している」とアピールするなど、新しい動きも見えてきた。鷹山がこれから、どこへ行こうとしているのか、高取直社長に聞いた。

ユーザー減に「なすすべもない」?

ITmedia まず、アステルグループの現状をどう考えているか教えてください。今日も、アステル北陸がサービス終了を発表するというニュースが入りました(4月28日の記事参照)。

高取 周囲から、批判を受けているのは分かっている。「この2年間何ひとつ動いていない、赤字を垂れ流しながら手をうたず、旧電力系のPHSユーザーが減っていくのをなすすべもなく眺めている……」。だが、ちょっと待ってほしい。今は不採算部門を整理している段階で、これからようやく新しい事業展開が可能になる。

 私がこういうことをいうと問題になるかもしれないが、アステルは“崩壊”する。しかしそれは新たな“誕生”をもたらす。アステルグループ再編のコアになるのが、鷹山だ。

ITmedia アステルのPHS事業は、採算性が悪いと?

高取 ここで強調したいのだが、アステルとPHSは分けて考えてほしい。ISDNインフラをベースにしたアステルには発展性がなくとも、技術としての“PHS”には、無限の可能性がある。

 たとえば無線LANやBluetoothは、2.4GHz帯を使うところに問題がある。2.4GHz帯といえば、相互干渉があって「電波のゴミ捨て場」ともいわれる帯域。5GHz帯の無線LANもあるが、コストの問題以前に技術がこなれていない。

 しかしPHSが利用するのは1.9GHz帯。今後の高速化も可能で、ISDNインフラでなくFTTHインフラと組み合わせれば高速サービスを提供できる。

ITmedia 具体的にどうなりますか。先日、取りざたされていたDDIポケットとの提携が正式に発表されましたが、その提携内容も不明確です。

高取 DDIポケットと提携することで、前々から我々が言っていた「3社と提携しての事業計画」がはっきりした。以前はそういっても、“3社とはどこだ、本当にそんなものがあるのか”と疑問視されていた。

 3社の内訳は、FTTHインフラを持つパワードコムと、そのパワードコムと電話事業を統合したフュージョン・コミュニケーションズ(3月25日の記事参照)、それにDDIポケットだ。

 各家庭までは、パワードコムがFTTHインフラをひく。電力系は、アステルから撤退してFTTHに専念したわけだ。そこに我々が無線接続して、相互融合していく。屋内は鷹山のPHSサービスを提供し、屋外はDDIポケットと業務委託を行うことで、FTTHインフラに鷹山――DDIポケット連合が絡んでくるイメージだ。

Photo 鷹山の描くサービスイメージ。家庭までFTTHインフラが届き、そこから先は鷹山のPHSサービスにつながる

ITmedia 「屋内は鷹山」という部分は、具体的にどうなるのでしょう。

高取 我々は従来のアステルサービスの枠組みを存続させながら、無線移動体通信セクタから“無線固定通信セクタ”へと移動する。この分野の市場規模が想像以上に大きいことに着目したためだ。FTTH/IP電話の足回りとしての無線接続が、急速に進むだろう。

 具体的には、電力線通信(PLC)の規制緩和動向も視野に入れたサービスを考えている。これ以上は、今の段階では残念ながら話すことができない。

ITmedia 鷹山は、屋内での通信のみを行うのですか。先日発表された「ボイススポットフォン」(VSフォン)では将来像として、「キャリング型VSフォン」というものも提供するとうたっています。これは、屋内外兼用の端末だそうですが。

高取 鷹山ブランドで、携帯電話端末を提供することになる。カラー液晶を搭載し、折りたたみ型になる。

 業務委託先であるDDIポケットとは、明確に棲み分けを行う。FOMAと張り合えるような高速データ通信に対応し、移動体としての性能を高めていくのはDDIポケットのPHSだ。鷹山の端末は、PC非依存型の端末になるのだが、詳しくはいえない。

 強調しておきたいのは、DDIポケットのPHS網を活用したMNVOとして鷹山が存在するのではないことだ。MVNOとは、単なる大口法人契約に過ぎない。そうではなく、総務省の立会いのもとに締結された、互いに協力しあう“業務委託”の関係だ。

ITmedia 鷹山の目指すところが、おぼろげには見えてきました。詳細は、いつになったらはっきりと分かるのですか。

高取 これまでは準備段階で、さまざまな事情からサービスを明らかにできなかった。しかし今月、来月、再来月には分かりやすい話が出せるようになってくる。

 沈黙を貫いていたことで、ユーザーから見た我々の信用は地に墜ちてしまった。しかし、7月までを見てほしい。そうすれば、世間の評価は取り戻せると思っている。

(文中敬称略)

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