携帯のヒンジが変わる時(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 07時10分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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回転2軸ヒンジがもてはやされるワケ

 脱・折りたたみの流れは、今に始まったわけではない。1年前、ソニー・エリクソンおよび京セラは、液晶を回転させるとダイヤルキーが現れる回転型を世に問うた(2003年4月28日の記事参照)。

 常に大画面が見える構成のため、大型化しつつあった背面液晶が必要なくなる。さらにメガピクセルカメラの登場に伴い、折りたたんだ状態でメイン液晶をカメラのファインダーとして使えるメリットもあった。

 同様の意図を持った端末としては、三洋電機がスライド型の端末を投入している。しかしその後、回転/スライド形状に追随したメーカーは今のところない。

 それはなぜか。

 シャープは「折りたたみ一辺倒に飽きが来ている。かといって単なる回転型にしてしまうと傷への不安やプライバシー面の不安がどうしてもある」と、回転/スライド型のデメリットを話す。

 折りたたみ型が流行った背景には、iモードやメールが大画面で使えるということ以外に、鞄の中に放り込んでおいても液晶に傷が付かないという理由もあった。また着信時には相手の名前が画面に表示されるが、液晶が前面にあると名前を見られてしまう可能性がある。

 さらに電話機として折りたたみ型が完成されていたのも、新形状採用をちゅうちょする理由となった。20度ほどの角度がついた“くの字”形状で顔にフィットすること、マイクが口元近くにあり通話の安心感が強いことなどが、電話機としての折りたたみの魅力だ。

 「電話としての本質的な機能を押さえながら、脱携帯、今までとは違うなという新しさは表現していかなくてはならない」(シャープ)

 各社、脱・折りたたみの方法を考えてはいた。しかし折りたたみ型に慣れたユーザーの動向を考えると、回転/スライド型への移行にもリスクがある。技術的な問題というよりも、ユーザーの心理的な部分に超えなくてはいけないハードルがある。

 そこに出てきたのが回転2軸ヒンジだ。折りたたみ型のメリットを残しつつ、斬新でカメラ撮影にも都合がいい。折しもヒンジを通すケーブルも進化してきており、技術的に回転2軸ヒンジが可能になってきた時期でもあった(2003年12月5日の記事参照)。

今後の可能性はどこにあるのか

 携帯供給メーカー11社中5社が回転2軸ヒンジの採用に踏み切ったのは、さらに積極的な理由もありそうだ。つまり“iモードの次”を睨んだ形状ではないか。

 カシオの石田氏は「あのスタイルは、カメラよりもテレビに向くのではないか。地上デジタルが2005年に始まる前に、ああいう形をやっておかなくちゃ」と、各社の意図を推測する。

 どうしても縦長の画面を見ることになる折りたたみ型と違い、新形状の端末は横向きで画面を見るのに都合がいい。

 三洋は昨年の時点から地上デジタルテレビに向いた携帯の形状を探り始めている(2003年10月7日の記事参照)。地上デジタルテレビ内蔵の試作携帯電話にはスライド型を採用。端末を横にして、全画面でテレビが見られれるようにしている。

 シャープがまもなく発売するアナログテレビ内蔵端末「V402SH」も回転2軸ヒンジを備え、全画面でテレビ閲覧が可能だ。

 KDDIは地上デジタルテレビ放送対応端末を、モバイル向け放送開始に合わせて投入することを狙っている。FMラジオ局とのコラボレーションで成功したメディア連携のモデルを、デジタルテレビにも応用する考えだ。

 “iモードの次”が何になるのかは未知数。しかしテレビがその候補の1つであることは間違いない。少なくとも、携帯の形状は新しいアプリケーションに向けて着実に変わりつつある。

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