2010年にやってくる? 4Gとは何か(2/3 ページ)

» 2004年08月11日 17時51分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

4G実現のキーの1つ──MIMO

 では、ピーク1Gbpsを実現するために必要な無線技術とはどんなものか。中川氏は、「OFDMなどマルチキャリア技術と、マルチプルアンテナがポイント」だと話す。

 マルチプルアンテナは複数のアンテナを使う技術。中でも中川氏は「MIMO:Multi Input Multi Output」に注目する。MIMOは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを使い、空間多重を実現する技術だ(2003年7月18日の記事参照)。無線LANの通信技術としても802.11nでの採用が想定されている(2月5日の記事参照)。

 複数の無指向性アンテナからSpace-Time Coding(時空間符号化)した同じ信号を同帯域で送り、複数のアンテナで受信、信号を分離する。その際、アンテナごとに受信した信号の相関が少ないほど効果が上がるという。「これまでマルチパスは悪いもので、分離しないとS/N比が上がらないものだった。(MIMOでは)それを逆に活用してやろうという発想」(中川氏)

 MIMOではアンテナの本数を増やすほど通信速度が上がる。理論的にはアンテナの本数に比例するイメージだ。ただし携帯端末側で複数のアンテナを搭載する場合、「利用する電波の波長の半分程度は離さなくてはいけない」ことが課題の1つ。波長15センチの2GHz帯では7センチ程度、4GHz帯でも3センチ程度離してアンテナを配置する必要があることになる。

4G実現に向けた2つめのポイント──OFDM

 もう1つのポイントがOFDMなどマルチキャリア技術だ。これまでのTDMA/CDMA通信は、1つのキャリア(搬送波)を使うシングルキャリア方式だった。これを複数のキャリアを使うマルチキャリア化することで、高速化などを達成する。

 一般に、ある周波数幅(例えば4Gなら100MHz幅)を区切って複数のキャリアを入れることでマルチキャリア化を行う。このときキャリア間の間隔が詰まると干渉を起こす問題があるが、変調にOFDM(直交周波数分割多重方式)を使えば干渉を起こさずキャリアの間隔を狭められる。つまり周波数の有効利用が可能になる(2003年8月4日の記事参照)。IEEE802.11aをはじめ、地上デジタル放送、ETCなど新しい無線通信の多くがOFDMを使っており、4GでもOFDMが有望だ。

 このようにマルチキャリア化が流行なのは、通信速度が上がるにつれてマルチパスの影響が大きくなるから。同一の信号が建物などに反射して遅れて届くマルチパスは、そのままではノイズとなってしまう。イコライザー(等価器)でマルチパスを合成するというアプローチもあるが、マルチキャリア化して複数のキャリアで信号を送れば、マルチパスの解析も容易になる。

 実際にはOFDMを使った上で、マルチユーザー化のためにさらに多重化を行う。携帯電話は同一セル内で複数のユーザーが利用するからだ。ドコモはOFDMをメインに、マルチユーザー化にCDMAを使うOFCDM方式を提案(2002年3月18日の記事参照)。中川氏はOFDMとTDM(時分割多重)を組み合わせることも考えられるという。

 4Gの無線方式の実現目処としては、ドコモは2010年としている。中川氏は欧州の多くのオペレータと同様に「2012年から15年。当初の見込みから少し後ろになっている」とした。

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