無線通信方式とは別に、4Gのキーワードとして語られるのがネットワークのIP化だ。各社、交換機などコアネットワークの部分を中心にIP化を進めており、パケット通信のコアネットワークについてはIP化がかなり進んでいる。
その次のステージとして「アプリケーションのレベルもIPになる」と中川氏は見る。インターネットとの親和性がメリットだ。「無線ネットワークは、アプリケーション面で有線ネットワークを追いかけている。自宅やオフィスでやっていることを無線でもやれるといい」(中川氏)。
もう1つ、大きな意味で4Gとされるのが複数の無線環境を状況によって切り替えて使う「マルチラジオ」だ。総務省も、4Gの特徴として「ほかのメディアとシームレスに連携できること」を挙げている(2001年7月19日の記事参照)。3GPPも「WiFiと3Gの融合は議論されている」(中川氏)状況であり、まずは無線LANと携帯電話ネットワークの融合が進む可能性が高い。
「4Gは、2G、3G、4G、WiFi、Bluetooth、UWB、WiMAXなど、さまざまな無線方式を融合するような形で進化していくだろう」(中川氏)
そのための技術的な課題は大きく2つある。
1つは、複数の無線ネットワークをいかにうまく切り替えていくか。セッションを維持したままネットワークを切り替えられるMobile IP技術はもちろん、最適なネットワークを見つけて切り替えを行う端末側の仕組みも課題の1つだと、中川氏。
2つ目はソフトウェア無線の実装だ。ソフトウェア無線は、DSPやFPGAなどプログラマブル可能なチップを使って、複数の通信方式を1つのチップで処理しようというもの。ただし「専用チップに比べると消費電力が大きくなる。具体化はまだ先ではないか」と中川氏。逆に「実現するのは基地局のほうが先」だと見る。
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