作品名 | オールド・ボーイ(Oldboy) |
監督 | パク・チャヌク |
制作年・製作国 | 2003年韓国作品 |
ヨン様の来日騒動が収まり、気がつけばもう12月。ドラマ「冬のソナタ」から火が付き、“韓流”に沸いた1年の締めくくりとして、今月は韓国映画を特集します。秋冬公開の韓国作品は粒ぞろい。携帯電話もさまざまなかたちで登場するので、ぜひチェックしてみてください。
第1弾は、2004年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「オールドボーイ」。土屋ガロン(作)・嶺岸信明(画)による同名の日本漫画が原作ですが、映画と漫画では、結末が異なっています。
1988年のある夜、突然誘拐された男、オ・デス。妻と子供と平凡に暮らしていた日々が一変、監禁され、人生のすべてを奪われてしまいます。監禁部屋の中でデスは、どうしてここへ閉じ込められたのか、いつ外へ出られるのか、苦悩と狂気の中で、流れ去る時間を刻み付けていました。
15年という月日を経て、拉致された時と同じように、デスは突然解放されます。ある日目覚めると、デスは新品のスーツに身を包み、監禁部屋の外に出ていたのでした。そして、見知らぬ男に携帯電話とお金の入った財布を手渡されます。男は
「俺に何かを聞こうと思うな、俺は何も知らない」
と告げ、走り去ります。
状況を把握できないまま、お腹を空かせたデスが、ひとまず入った日本料理店で、その携帯電話が鳴り出します。デスを監禁していた人物からだと悟ったデスは、電話に出て叫びます。
「お前は誰だ!」
「誰だと思う?」
相手の声は、冷静でした。
「俺をなぜ監禁した?!」
「俺のことより、“なぜ”かが重要だ」
電話は一方的に切れ、興奮したデスはその場で倒れ込んでしまいます。店で働いていた若い女性ミドに助けられたデス。ミドは介抱するため、デスを自分の部屋に連れていきました。その時ミドは、デスが持っていた古びたノートを見つけ、中を読んでしまいます。そこには信じ難い、15年間の監禁生活、そして人生の苦悩が書き綴られていました。そのすべてがデスの身に起こった事実と知り、ミドは犯人を探すのを手伝うことにします。
デスとミドは行動を共にし、古くからの友人に会い、デスの過去を探り、また家族の消息も突き止めました。そんな中で、デスの行動を監視するかのように、携帯電話は鳴り続け、謎の男の言葉が、デスを復讐に駆り立てていくのです。
「お前は誰だ!」
その答えは、衝撃の結末の中に。何のための復讐なのか、誰のための愛なのか。想像を越えるラストシーンには言葉を失います……。そして、監禁の理由、解放した理由が、明らかになった時、この作品における携帯電話の役割の重要性をあらためて理解するのです。
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