WIN端末参入というタイミングで、大画面液晶&回転2軸ヒンジをカシオが採用したのは、“WINでコンテンツが次のステージに入る”という考えもあってのことだ。
「機能のトレンドを見たとき、画面の進化と形状とのマッチングが大事」だと石田氏。通話がメインだったころの携帯はストレート型が主流。そこにメールやWeb閲覧、カメラなどの機能が加わり、大画面化が容易な折りたたみ型が急増した。
カシオは次の機能進化を“WINコンテンツ”と呼ぶ。この機能変化に合わせて、形状もポスト折りたたみ型──回転2軸ヒンジに移行するという考えだ。「メールとWebが主流になったころ、折りたたみが欲しくて買い換えるユーザーが急増した。同じようにWINでのトレンドが見えてくれば、形状が決まってくる」(石田氏)
ではWINコンテンツとは何か。
「やっぱりOpera。インターネットの世界は、調べれば調べるほど無料のいいコンテンツがいっぱいある。WINのキラーはフルブラウザ」(石田氏)。現在のところ、従量課金となっているOpera──フルブラウザだが(10月6日の記事参照)、ゆくゆくはこれがWINのキラーアプリケーションになっていく。そのときに大画面が生きるという考えだ。
回転2軸ヒンジ+フルブラウザ。そこにカシオは新しいコンテンツの可能性を見いだした。「常に最新情報を表示することをやりたかった。刻々と変わっていくコンテンツを、常に表の画面に出しておく。いちいち(携帯を)開けるのは面倒くさい」(石田氏)
W21CAでは、指定したインターネットのページの一部を、待受画面に指定できるようになっている。そのページは、指定した間隔で自動的に更新され、常に最新情報が表示される。回転2軸ヒンジによって、液晶を回転させて閉じておけば、常に最新情報がチェックできるというわけだ。
もう1つ、映像系もキラーコンテンツとなりそうだ。W21CAは、AV機器やPCでminiSDカードに保存したASFフォーマットの画像を再生可能。しかも、ワイドテレビと同様に、4対3の映像を引き延ばして15対9の全画面で表示できるようになっている。
またこれまで粗さが目立ったEZムービー──映像配信コンテンツも、QVGAサイズの動画となればクオリティは一気に増す。
そして2005年末に予定されている1セグ放送──モバイル向け地上デジタル放送もある(特集記事参照)。これまで放送はQVGAサイズとなるといわれていたが、固定テレビ向けの放送は16対9。サイマル放送(同じ放送を流す)としてモバイル向けにも提供する以上、携帯側がワイド液晶になるのなら、1セグ放送もワイドで流すほうが都合がいい。
とにかく画面を大きく──。それを形にしたのがW21CAだ。そして大画面を生かすキラーコンテンツとして、フルブラウザOperaや、ワイド液晶表示に対応した動画再生機能が詰め込まれた。
「みんなのユメが詰まっているんです。W21CAは、最後発のWINで、ここまで引っ張った。待っていたお客さんの期待を裏切らないようにしたかった」(石田氏)
1Xでカメラ付き端末のトレンドリーダーだったカシオ。WINでのチャレンジとなるW21CAは、12月末発売を目指して最後の調整に入っている。
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