「今までiモードを使いこなせていない方。そんな方も本当はニュースや天気予報のチェックをやりたい──と悩んでいる」
ドコモのプロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部長の夏野剛氏は、701iシリーズから対応した「iチャネル」の意義をこう説明した。4500万人のiモードユーザーのうち、約4割は有料コンテンツを利用していない。このiモードに不慣れなユーザーを、どうサービスに誘導していくか。そのための新しい道具がiチャネルだ。
8月2日に発表した701iシリーズ3機種、「P701iD」「N701i」「D701i」が対応している。
通常iモードの新サービスは、50x系や90x系のハイエンド端末から投入される。今回701iシリーズという、いわゆるエントリー層向け端末からサービスを開始するのは、iチャネルのターゲットが、まさにエントリー層であるからだ。
iチャネルの特徴は、その手軽さに尽きる。月額157.5円の申し込みさえしてしまえば、勝手にコンテンツが端末に配信され、待受画面の下側にテロップとして表示される。
「朝から夜まで、2時間ごとにプッシュで勝手に流れてくる。ユーザーは何のアクションも起こさなくていい。新幹線の中のニューステロップと同様だ」と夏野氏。
配信された情報を能動的に見たいときは、端末に設けられた「ch」と書かれた[チャネル]ボタンを押す。すると、ジャンルごとにまとまった情報画面がFlashコンテンツとして表示される。ここから「ニュース」などの情報を選択すると、Webアクセスが始まり、より詳細なコンテンツを閲覧できる。
「サービスへの加入が必要だと障壁になる」(夏野氏)ことから、一週間の無料お試し期間も設ける。有料になっても、プッシュ配信に関してはパケット代もかからない。
ユーザーがコンテンツを選択する必要さえない。読売新聞の提供による「ニュース」「スポーツ芸能」「占い」と、日本気象協会による「天気予報」、そしてドコモが提供する「お勧めiモードサイト」の5つがプリセットされており、このジャンルの情報が自動的に配信される。
こうした敷居を下げる仕組みにより、「iモードを利用してもらえる可能性が広がる」(夏野氏)ことを狙う。
配信の仕組みには、マクロメディアの「Flash Cast」を使う(2004年11月5日の記事参照)。仕様も公開していく予定で、iモードの勝手サイト同様、自由にiチャネルを開設できる仕組みになっている。
プリセットされている5チャネルに加え、利用ユーザーが追加できるのが5チャネルまで。合計10チャネルを登録できるようになる予定だ。
ニュースなど、コンテンツプッシュの配信間隔は2時間おき。ただしコンテンツの更新頻度はそれぞれ異なり、例えば天気予報は1日に3回程度となっている。
料金もシンプルにまとめた。まずiチャネルの基本料金が月額157.5円。プッシュ配信についてはパケット代もかからない。また、プリセットされる5チャネルについては情報料もかからない。
ユーザーが追加するコンテンツについては、iモード公式コンテンツ同様、別途情報料がかかる場合があるという。
エントリー向けの意味合いが強いサービスだけに、まずは701iシリーズからの登載となったが、「次の902iシリーズ(5月10日の記事参照)からは、iチャネルを搭載していく」と夏野氏。
プッシュ型のコンテンツサービスは、ボーダフォンが「ステーション」の名称で提供中だが、3G携帯電話では提供しなかった(2003年12月8日の記事参照)。KDDIは「EZチャンネル」の名称で、動画やマンガなどリッチコンテンツの配信を行っているが、まだ成功したとは言い難い状況だ。
夏野氏は「まずテロップできっかけを作り、さらにFlashに誘導。これが今現在では使いやすいと思っている」と、まずはリッチコンテンツの配信は想定外だとした。
iモードユーザーの裾野を広げることを目的に、プッシュ配信のメリットのうち手軽さにフォーカスしたiチャネル。サービス自体の新味はそれほどないが、エントリーユーザーが利便性を感じるものであることは確かだ。
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