メモリースティックDuoよりずっと小さく、体積比にして4分の1という「メモリースティックマイクロ」を、ソニーと米SanDiskが共同開発した(関連記事参照)。小型化が進む海外GSM携帯が当初の主要ターゲット。メモリースティックPROとの互換性も重視し、「規格が乱立して分かりにくい」というユーザーの声にも極力応えたい考えだ。
メモリースティックマイクロのサイズは15(幅)×12.5(高さ)×1.2(厚さ)ミリで、小指の第1関節ほどの極小サイズ。Duoは31(幅)×20(高さ)×1.6(厚さ)ミリで、並べるとその小ささが際立つ。
日本の携帯電話は本体が比較的大きいものが多いため、メモリースティックDuoでも現状、問題ない。しかし欧州や中国などGSM圏では小型の携帯が好まれるといい、Duoよりも小さいカードが欲しいという声がかなりあったという。
携帯電話向けメモリカードの小型化は、海外を中心に進んできた。米SanDiskが昨年2月に世界最小のメモリカード「TransFlash」を発表。TransFlash互換の超小型SDカード「microSD」も開発されているほか、韓国Samsung Electronicsは超小型カード「MMCmicro」の量産を始めた。メモリースティックもこの波に乗った形だ。
TransFlashやmicroSDは、仕様上はリムーバブルだが、機器に組み込んで利用するのが基本。しかしメモリースティックマイクロは、リムーバブルメディアとして利用するのが前提だ。ボディには飛び出し防止のツメを備え、紛失しにくいよう工夫している。
リムーバブルにこだわったのは、カードに保存したコンテンツを、さまざまな機器で再生して楽しんでほしいためだ。例えば、デジタルテレビの映像やPCでダウンロードした音楽をメモリースティックマイクロに保存し、携帯電話で視聴してもらうといった使い方を想定している。
メモリースティックの世界シェアは25%というが、国内だと14.4%(BCN総研調べ)。国内ではSD陣営が強く、SDカードが40.7%、miniSDが24.2%と、メモリースティックを圧倒する。
メモリーステックも出荷量を伸ばしたいのはやまやまだが、量を追うだけがすべてではないと、メモリースティック事業センター商品企画部アプリケーション企画課の石坂尚統括課長は話す。規格策定時から思い描いてきたメモリーステックの理想の姿が、量を追うだけの戦略とはなじまないという。
理想の姿とは、多様なコンテンツを持ち歩け、さまざまなハードで再生するためのプラットフォームになること。転送速度やファイルフォーマットなどについて厳格に定め、対応ハードならどの機器でも再生できるよう気を配ってきた。規格をゆるやかにすれば、採用メーカーは増えるかもしれないが、ハードによっては記録・再生できないといった不具合が起きる可能性がある。
メモリースティックマイクロは、アダプタを装着すれば、メモリースティックPRO対応機器で使えるようになる予定。PROとの互換性は最大限に保ちたいとしている。
メモリースティックは、規格が乱立して分かりにくいと批判されることがある。1998年に開発された初代は、容量の上限が128Mバイト。高容量のニーズに応えて2003年にメモリースティックPROが登場したが、初代との互換性は低かった。
加えてメモリースティックを小型化したメモリースティックDuo、PROを小型化したPRO Duo、著作権保護技術「マジックゲート」(MG)対応版と非対応版と、さまざまな規格のメモリースティックが登場し、一部ユーザーの混乱を招いた経緯がある。
同社は2004年5月に、すべてのメモリースティックにMGを標準搭載。MGの有無による混乱の収束にかかった。PROとの互換性が低い初代規格のメモリースティックは販売し続けているが、容量が小さいためニーズは減ってきたという。
メモリースティックは今後、「MG対応&PRO」が標準となる見通し。サイズは標準、Duo、マイクロと3種類あるものの、規格乱立による混乱には終止符が打たれそうだ。
メモリースティックマイクロは、10月にライセンス提供を開始。理論上の最大容量は32Gバイト。商品化時の容量や発売日などは発表できる段階にはないとしているが、フラッシュメモリを使った音楽プレーヤー「iPod nano」の容量でもある4Gバイトが1つの目安となるといい、まずは4Gバイトを目標に開発は進んでいきそうだ。
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