インタビュー
» 2005年11月22日 01時17分 公開

大人に向けた「上質・洗練・知性」を──開発陣に聞く「F902i」 (1/2)

シンプルでフラットな背面に「丸窓」のようなディスプレイ、色や質感にこだわった表面処理──。大胆なイメージチェンジを図った「F902i」のデザインについて開発陣に聞いた。

[房野麻子,ITmedia]

 これまで富士通製のハイエンドFOMAは、指紋認証ユニットの搭載や充実したPC連携機能、他メーカーに先駆けて実装したノンセキュアAACの音楽再生機能などから、“マニアックな上級者向けモデル”と見られることが多かった。

 しかしF902iでは一変して、昨今の端末選びで重要なポイントとなるデザイン面にフォーカス。つややかでフラットなパネルに円形のディスプレイをレイアウトしたシンプルなデザインを採用し、ボディカラーもこれまでのドコモ端末にはない色や質感の4色を揃えた。大幅な路線変更の狙いについて、富士通モバイルフォン事業部プロダクトマーケティング部の坂本秀幸氏に聞いた。

コンセプトは「上質・洗練・知性」

 「今回、カタログなどの製品紹介資料やデザインを含め、富士通の姿勢がだいぶ変わった」と坂本氏はいう。「(F902iの開発に当たって)第1に考えたのが『やっぱり携帯電話ってデザインだよね』という点。『それなら、今回はとことんデザインにこだわろうじゃないか』と、開発がスタートした。デザインには形、色、材質などさまざまな要素があるが、基本コンセプトを『上質・洗練・知性』とし、それを表現するために塗装にこだわろう、ということになった」(同氏)

 F902iのボディカラーはプラチナミラー、メタルブロンズ、グロッシールージュ、フェアリーラベンダーの4色展開。プラチナミラーとメタルブロンズでは、よりリアルな金属の質感や手触りを表現するために、金属蒸着技術を採用した。

 「携帯電話への金属蒸着で懸念されるのは、電波感度の低下。そこで原料に錫(すず)を使った。これで電波シールド効果が軽減され、感度の面で問題ない端末に仕上がった。ただ、モールド樹脂の上に金属の皮膜を付着しているので、コストは高くなる」(同氏)

プラチナミラー、メタルブロンズは、原料の錫をヒーターで加熱し、蒸発させて樹脂に薄い皮膜を付着する金属蒸着加工を採用。今回採用された4色のカラーは、数百種類の候補の中から選び抜かれたものだという

 Fシリーズでは過去に「F504i」で、背面を鏡面仕上げにしたことがある。そのときには“指紋が付きやすい”という声も多数寄せられたと振り返る。

 「それがトラウマになっていた(笑)。しかし、最近では他キャリアからもデザイン端末が出てきている。だから(ユーザーに理解してもらえると判断し)今回はデザインを重視して、指紋の問題は度外視した。常に磨いて、より大事に使っていただけると思う」(同氏)

 グロッシールージュは、赤い色を3層に重ね塗りした「3コート塗装」で奥行き感や光沢感を表現。フェアリーラベンダーは女性に手にしてもらいたいという考えから、他の3モデルとは別に女性デザイナーが手掛けた。丸窓に合わせて波紋をイメージした模様が彫り込まれているが、溝の深さを変えるなど細かい部分にまでこだわり、透明感のあるデザインに仕上げたという。

 デザインのアクセントとなっているのが、背面の丸いディスプレイ「丸窓」だ。「単にフラットなだけでは面白みがないので、ワンポイントのアクセントを置くことは決まっていた。さまざまなアイデアがあったが、一番シンプルかつメッセージ性の強い『丸窓』を採用した」

 F902iで少々気になるのは“端末の厚さ”。ハイエンド端末のスリム化が進む中、25ミリという厚さを気にするユーザーもいるだろう。

 「できるだけフラットでシンプルな、突起のないデザインを目指したため、この厚さになった。いろいろなところを削って薄くすることはできるが、コンセプトに見合った質感やかたまり感を表現したいということから、あえていじっていない」

F902iは液晶側とキー側の厚みにかなりの差がある。背面液晶にSTNを採用し、バックライトをメインディスプレイと共有化することでフロント側のスリム化を図った。底面はカメラがある分、厚みが必要になったという

大人に使ってほしい「アドバンストモード」

 ほかのデザイン端末と同様に、待受画像やメニュー画面、背面液晶用の待受画像はボディカラーに合わせた素材がそれぞれ用意されている。これらは「トータルコーディネート設定」で一度に設定可能だ。実は、このほかにもう1つ「アドバンストモード」という設定がある。これを選ぶと液晶画面の輝度が最大に設定され、待受画面の時計やメニューアイコン、メール本文などの文字も大きくなり、フォントはモリサワのリュウミンになる。

 「携帯電話ユーザーのボリュームゾーンは、全体で見ると30代〜40代。このゾーンの中にも当然、ハイエンドな新端末が欲しいというアンテナ感度の高い人たちがいる。(アドバンストモードは)そんな大人たちに向けて作った設定」(同氏)

 “大きな字で見やすい”ことを望みながらも「らくらくホン」の方向に振られると、「いやいや、オレはそんな歳ではない」と抵抗を感じる人が多いのもこの年代。F902iはまだそこまでいかない、ハイエンドFOMAを格好よく持ちたい人に向けて作ったと坂本氏はいう。

 「文字が大きくて見やすいだけでなく、上質で洗練された知性を感じさせる。このコンセプトに適したフォントはモリサワのリュウミンではないだろうか──そんな想いから採用した」

 システムフォントからすべてリュウミンになるので、メールはもちろん、iモードサイトの表示などもすべてリュウミンになる。携帯電話の画面で見る明朝体は、ゴシックを慣れた目には新鮮だ。

電球の明るさで電池残量を示したり、クルマのタコメーターで電波感度を表したりと、遊び心を感じさせる待受画像


画面の輝度が上がり、待受画面の時計表示や文字は大きく、フォントがモリサワのリュウミンになる「アドバンストモード」。「ほかの携帯電話よりちょっと進んだ(アドバンスト)モード、と理解してほしい。慣れてくるとクセになります(笑)」
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