第4の携帯デジタル放送「FLO」の日本上陸はあるか:mobidec 2005

» 2005年12月01日 01時19分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯電話向けデジタルテレビ放送が2006年以降、世界的なトピックであるのは間違いない。韓国メーカー主体の「DMB」は12月にも開始予定であり(9月27日の記事参照)、日本でも2006年4月に「ワンセグ」の愛称で携帯向け地上デジタル放送が始まる(9月27日の記事参照)。欧州方式の「DVB-H」も欧州・アジアなど各国で2006年の開始が見込まれている。

各方式の携帯向けデジタル放送に対応する、米Texas Instrumentsのデコーダチップ「Hellywood」の説明図より。「ISDB-T」とは日本のデジタル放送規格名

 この図を見ても分かるように第4の携帯デジタル放送として現れたのが米Qualcommの進める「MediaFLO」だ(2月9日の記事参照)。

 「FLOとは、“Forward Link Only”つまり下り方向通信のみの意味。下りを最も効率良く利用する技術だ」。11月30日、mobidec 2005の講演でこう話したのはクアルコム ジャパンの松本徹三会長だ。

 MediaFLOの最大の特徴は「携帯専用に作った」ことだ。通信技術の概要としては「基本的にはワンセグと同じOFDM」(松本氏)だが、固定向け放送を応用して携帯向けとした他方式に比べると、携帯特化によって利点が生まれた。松本氏によると、周波数利用効率は他方式に比べて3倍、通常のバッテリーで3.8時間の視聴が可能となっており低消費電力化に力を注いだ。またチャンネル切り替えも1.5秒以下となっており“待ち”が少ない。

車社会の米国でさえ「次はやっぱりテレビだよね」

 米QualcommはこのMediaFLOを強力に推進。米国ではオークションで700MHz帯域を購入し、自らが放送事業者としてサービス展開を行う。「米国では2006年10月に試験放送、11月には本放送を行う。試験用の端末も韓Samsungが開発中だ」(松本氏)

 米国でQualcommがMediaFLOにかける期待は大きい。「車社会の米国でさえ、次はやっぱりテレビだよね、と言っている。日本でサービスすれば2倍儲かると言われた」(松本氏)

 ただし外国企業であるクアルコムジャパンは、国内で放送業務を行うことが難しい。そのため日本においては、複数の企業が参加する放送会社を新たに設立し、サービスを行うことを松本氏は想定している。クアルコムジャパンは直接運営に関わらず、技術提供を行うというビジネスモデルだ。この新会社に、既存のテレビ放送局や携帯キャリアなどが参加するのでは──という期待がある。

松本氏が示した日本国内でのMediaFLOの運営スキームの例

 周波数帯については、テレビ放送のデジタル化に伴う周波数再編によって生まれる、隙間の帯域を狙う。2012年7月に終了するUHF帯再編によると、52chまでをデジタル放送、55ch以上を携帯電話が利用する計画。この隙間の53ch、54chは割り当て方針がまだ決まっていない。

 「710M〜722MHzの53ch、54ch。これを使ってどこかの会社がMediaFLOをやって頂けるのでは」(松本氏)

テレビのデジタル化によって生まれる帯域のうち、まだ用途の決まっていない周波数帯域が12MHz幅ある

 松本氏はMediaFLOの周波数利用効率の高さから、放送側や携帯キャリアとの周波数の取り合いになっても「絶対勝てる」と踏む。今回、またしても日本独自の方式となってしまった携帯電話向けデジタルテレビ放送だが、米国発のMediaFLOは大穴となるのだろうか。

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