転機の韓国市場──新年度に向けた動向を追う韓国携帯事情

» 2006年02月07日 21時41分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 基本的に3月から新年度が開始する韓国。そのため2月は次の年度へ向けた制度変更などの動きが多くなる。携帯電話市場もその例に漏れず、さまざまな変化が見られる。2月に変更となった、あるいは変更予定の、携帯市場の動向について見てみよう。

発信者番号表示が無料に

 SK Telecom(以下、SKT)が今年から発信者番号表示を無料化したのに続き、LG Telecom(以下、LGT)も、2月から発信者番号表示の無料化に踏み切った。LGTは1月下旬に新料金制度を一挙13種発表。これに負けじとKTFも無料化することを宣言している。

 ただしLGTの場合、厳密にいえば、無料化ではなく統合である。同社が1月末に発表した13の新料金制度によると、発信者番号表示の料金が基本料金に含まれる形となっているからだ。今後LGTに新規加入するユーザーは新料金制度を選択しなければならず、既存のユーザーは希望に応じて変更が可能になる。

 LGTの新しい料金制度を従来と比べてみると、例えば新料金制度の「標準プラス」は、基本料1万3000ウォン(約1590円)、通話料18ウォン(約2.2円)/10秒、19時〜深夜0時までの通話料は15ウォン(約1.8円)/10秒という制度だ。これに似た既存の料金制度の「一般12000」は、基本料1万2000ウォン(約1468円)、通話料18ウォン/10秒。これに発信者番号表示の2000ウォンをプラスすれば月に最低でも1万4000ウォン(約1712円)がかかる。基本料金のみで比べると1000ウォン程度の差しかないが、時間帯割引の利用により「標準プラス」の方が安めに抑えられることが分かる。

 発信者番号表示が有料だった際、LGTは月額2000ウォン(約245円)、KTFとSKTは月1000ウォン(約122円)/月の料金を課していた。しかしこれが普遍的なサービスであることなどから、無料化に対する世論は多く市民団体によるデモなども起こり、これに押される形でキャリアは無料化を余儀なくされた(2005年7月19日の記事参照)

次の段階へ動き出した地上波DMB

 地上波DMBに対応した携帯電話の販売から1カ月強が過ぎた。注目度の高い端末が出たことで、売り込みは最高潮だ。ただし単に携帯電話を販売するだけでは発展がない。そこで地上波DMBを国内外に拡大するための動きが2月から始まっている。

 ポータルサイト「Paran」を運営しているKTHは地上波DMB事業者のU1 Mediaと提携し、これまで対応端末でしか見られなかった地上波DMB番組を、Paran上で再放送し始めた。Paran上に設けられた「Paran VOD」で、広告も含めた本放送は3月から開始する。ここではU1 Mediaの6つの番組を再放送するだけでなく、NG場面集や番組台本など地上波DMB専用端末では見られない、差別化されたコンテンツも配信される予定だ。

 またMP3プレーヤーメーカーのCOWON SYSTEMSは、既存のPMP(Portable Multimedia Player)の「COWON A2」に装着し地上波DMB視聴を可能にする受信機「COWON DM1」の販売を開始した。これをCOWON A2のUSB端子に接続すれば番組の受信が可能となるほか、録画や録音まで可能となる。

携帯番号の案内サービス開始

 固定電話にある番号案内サービスが、携帯電話にも対応することとなった。3キャリアと韓国通信事業者連合会は2月1日から「M114」サイトを通じ、携帯電話番号の公開希望者に限り、携帯電話番号を公開するサービスの試験サービスを開始した。本サービスは来る10日から開始される。

 携帯電話番号公開希望者は、キャリアの代理店に行き本人確認を済ませるか、キャリアごとのWebサイト上で登録が可能となる。「M114」サイトでは、名前、住所(市/郡/区および町/村など)で番号を検索・参照できる。携帯電話番号案内サービスはWebサイト上で行われており、誰でも無料で番号を検索できる。

 ちなみに携帯電話番号の公開サービスについては、個人情報保護の面から賛否両論があるのが現状だ。これに対し情報通信部は「携帯電話番号の案内サービスは、他国では成功例が見られる。また公開は希望者のみが行うものであり、本人の意思によるもの」と主張している。

 論議の多い制度ではあるが、個人事業者やビジネスで必要としている人にとっては、確かに便利なサービスだといえる。

後払い式交通カードの発行停止が決定

 韓国の交通カード「T-money」の後払い式カードの再契約を巡って意見が決裂していた、韓国スマートカードとカード会社4社(1月23日の記事参照)。これに対しソウル市中央地方法院は2月1日、カード社4社による既存の後払い式カード契約の効力延長を要求する仮処分申請を棄却した。これにより、後払い式交通カードの新規および再発給はなくなることになる。

 ただし既に発行済みの後払い式交通カードは、カード会社と韓国スマートカードとの合意により、カードの有効期間が終了するまで通常通り利用できる。

 カード会社と韓国スマートカードの利害が合わなかったことから起こった契約決裂は結局、新規および再発行中断という結果を生んでしまった。韓国スマートカードによる契約条件は、カード会社にとっては新規ユーザーの受け入れを拒否してまでも譲れないものだったといえる。その一方で、これに合意をした他のカード会社も存在している。ユーザーの利便を考えると、一刻も早い条件の見直しと合意が必要であることは間違いない。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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