3G導入を前に、揺れる中国PHS

» 2006年03月03日 12時44分 公開
[江戸川,ITmedia]

 第19回PHS MoU Group総会では、中国のPHS事情に関するプレゼンテーションが行われた。中国だけで約8530万ユーザー(2005年12月現在)と、世界最大規模のPHS市場に発展してきたが、同国の3G開始が現実味を帯びると共に心配事も増えている。

 まず簡単に中国の電話事業を解説しておこう。中国には大きな2つの固定電話会社があり、南部を中国電信(ChinaTelecom)が、北部を中国網通(China Netcomグループ、以下CNC)が担当している。いずれも地域の音声通話だけでなく、DSLなどのデータ通信サービスや国際電話サービスも提供する。そしてPHSサービスもこの2社によって提供されている。

 一方、携帯電話会社も中国移動通信(China Mobile)と中国聯通(China Unicom)の2社が存在する。前者はGSMを、後者はGSMとCDMAのネットワークを持っている。

 中国が導入を予定している3Gには、3つの方式が存在する。日本でもおなじみのW-CDMAとCDMA2000、そしてもう1つが中国で開発され、政府が最も力を入れているというTD-SCDMAだ(10月25日の記事参照)。中国の3G導入が予定よりも遅れたのはTD-SCDMAの完成度にあったともいわれている。そして、この3つのライセンスを、4つの電話会社がどのように分け合うか、業界再編も睨んでのシナリオができ上がりつつあるようだ。

3G導入を前に、揺れるPHS

ゲストスピーチで中国の3G紹介とPHSへの提言をする李氏(CNC Labs)

 PHS MoU Group総会のスピーチに立った李建宇氏が所属するCNC Labsは、CNCの子会社として技術サポートを担う。CNCは現在PHSサービスを提供しているが、3Gのライセンス取得も狙っている。しかしそのことで彼らはある問題に直面するという。

 「PHSと3Gは技術的に大きく異なる。しかし対象とする顧客は同じなのです。もしCNCが3Gのライセンスを取得したら、どちらの技術も同じように提供することになり、自己矛盾を抱えることになるでしょう」(李氏)。日本のNTTドコモもこのような状況だったのか。

 また、李氏は「PHSの優位性は、この先、3年から5年は続く」と分析しているが、さらに付加価値を持たせるなどの工夫が必要だという。また、現時点でデータ通信での稼ぎ頭と期待されるPHSとはいえ、次のような点に注意しなければならないという。

  • 中国国内で制限されているローミングサービス
  • 高速化、高度化のためのハードウェアのアップグレード
  • WiMAXやWiBro、McWiLLなどの競合する通信技術の登場

 中国市場には引き続きデータ通信のニーズがあり、今後も市場調査と研究を続けていくことが大事だと李氏は話した。

3GそしてPHSによる、業界再編シナリオ

中国の通信市場におけるリサーチを得意とするBDAのディーン氏

 中国の調査会社であるBDA China(以下、BDA)のテッド・ディーン氏は「PHS General Report in China」と題して、中国の3G市場の混迷ぶりと携帯業界再編シナリオを発表。また急成長を遂げたPHSの健闘ぶりを紹介した。

 3Gのライセンスを取得するために、業界の動きもあわただしくなってきたようだ。「中国の3Gについては、毎日のように新しいうわさが出ている」と言うディーン氏。BDAの予測では、中国移動通信が順当にW-CDMAのライセンスを取得。中国電信は中国聯通の持つGSMのネットワークを借りて新しいTD-SCDMAのライセンスを、残るCNCは中国聯通と合併しCDMAネットワークを使ってCDMA2000 1X EV-DOのライセンスを取得するという再編シナリオを示した。

 「2000年は150万、翌年は510万ユーザーでスタートしたPHSだったが、日本での失速が中国にも伝わり、サービス停止になるのではないか、PHSはなくなるのではないかといううわさが流れた。しかしこの5年間はご覧のような急成長を遂げている(5月25日の記事参照)。私たちは2006年も引き続き成長するものと予測している」(Dean氏)

3Gのライセンスを取得するため、4つの電話会社が3つに再編されるシナリオを発表
「サービス停止」「電波が足りない」「サービス廃止」「不確かな将来」という悪いうわさをよそに拡大し続ける中国PHS市場

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月17日 更新
  1. TBSドラマ「VIVANT」のワンシーンが物議 “microSD変換アダプターの手渡し”シーン問題視か (2026年09月16日)
  2. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  3. 折りたたみ「iPhone Duo」に、iPhone Proシリーズから乗り換えたら“失う”5つのこと (2026年09月15日)
  4. 実機に触れて「iPhone Duo」を買うと決めた理由 “コンテンツに没頭できる”創意工夫は試す価値あり (2026年09月16日)
  5. 15日配信「iOS 27」の新機能まとめ Siri AIの恩恵を受けられる機種は? 画像編集やSafariにも注目 (2026年09月14日)
  6. 「一瞬の退屈も我慢できない」SNS中毒“ドパガキ”ってなんだ? その心理と、日本以外の状況 (2026年09月15日)
  7. 「iPhone 18 Pro」の写真にサムスン電子カナダ法人公式がコメント 「本物のスマートフォンが必要なら……」 (2026年09月16日)
  8. 「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい (2026年09月10日)
  9. 「iPhone 18 Proシリーズ/Duo」を買いますか? ITmedia Mobile編集部員の場合 (2026年09月16日)
  10. ドコモ、2027年度中に「5Gエリア=SA対応エリア」目指す 品質1位にこだわらず“体感品質”の向上を重視 (2026年09月15日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー