2001年10月のサービスインから4年半が過ぎた今、ドコモのFOMAはメインストリームに位置付けられるまでに成長した。契約数ではPDCのムーバが約2768万、FOMAが2346万と(2006年3月末)、ムーバのシェアが未だ5割を超えているものの、新端末のラインアップは既にFOMAが主軸となっており、端末の販売数自体も2006年3月の実績で約80%をFOMAが占めている。
FOMAの台頭に伴い、端末ラインアップにも変化が見え始めた。サービスイン当初のラインアップはハイエンドモデルのみだったが、2004年にはミッドレンジの70xiシリーズが登場。2005年には、「prosolid II」や「DOLCE」「Music Porter II」など、よりセグメントされたユーザーのニーズに応える“企画端末”が加わり、2006年には国際ローミングに対応したローエンドFOMAの「SIMPURE」シリーズが披露された。
第16回 ファインテック・ジャパンのセミナーに登場したNTTドコモプロダクト&サービス本部の中村吉伸氏は、FOMAの多様化、多機能化が進む中で“企画端末”がどのような役割を果たすのかを説明。携帯に先端技術を搭載していく上で欠かせない存在であることをアピールした。
ドコモの企画端末には4つの要素があると中村氏。「先端技術」「バラエティ」「社会貢献」、そして「ユニバーサル」だ。中でも注目なのは、先端技術とバラエティ。先端技術のトピックとして示されたのはワンセグ、デジタルラジオ、HSDPA、無線LAN、WiMAX、モバイル放送。バラエティには、ゲーム、BTO(ユーザーニーズに合わせてカスタマイズできる携帯)、HDDケータイに加え、登場が待たれる防水ケータイも入っている。
これらの機能を搭載した携帯電話がすべて製品化を視野に入れたものなのかは明かされなかったが、HSDPA携帯については今夏発売予定で開発を進めているとした。
中村氏は企画端末の方向性について、チャレンジングな要素を持っており、今やっておかないと、この先どう伸びるか分からないようなところも盛り込んでいくと説明する。「100万人レベルのお客さんに買ってもらえるかどうかはわからないし、新しい技術を搭載する分、価格も高くなってしまうかもしれない。それでも将来的には企画端末の要素をメインストリームの端末に反映していくことを使命として端末を企画していく」(中村氏)
ファインテック・ジャパンは、フラットパネルディスプレイの研究開発・製造技術を展示するイベント。このセミナーということもあって中村氏は、携帯ディスプレイに求める機能についても言及した。
「例えばディスプレイにフレキシビリティがあると、3D的な液晶デザインにしたり、背面液晶を立体的なデザインにしたりできる。電子ペーパーはサブディスプレイやカスタムジャケットに使えるかもしれない。カスタムジャケットに電子ペーパーを使えば、ジャケットを入れ替えるのではなく、電子ペーパー自体を自分の好きな色に変えたり、ニュースや天気予報を表示させたりできる。操作性のところでは、キーパッドに使ったり、複数機能の起動が割り当てられているボタンに使ったりといろいろなやり方がある」(中村氏)
デバイスメーカーからのさまざまな提案を商品企画とマッチアップして、携帯メーカーも巻き込んで新しい携帯電話の可能性を追求していきたいと話し、「いい提案があったらぜひ聞かせてほしい」と呼びかけた。
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