苦戦する「Vodafone live!」と行き詰まる成熟市場のジレンマ:英Vodafoneの現状と今後(2)(2/2 ページ)

» 2006年08月03日 19時17分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
前のページへ 1|2       
Photo

 欧州携帯電話市場はもともと、フィンランドのNokia、スウェーデンのEricsson(現Sony Ericsson)、ドイツのSiemens(現BenQ-Siemens)などが牽引してきた経緯があり、端末メーカーとオペレーターの関係は、サービスを共同で開発し提供するという深いレベルではない。また、ビジネスユーザーや技術指向の強いユーザーは別として、一般的なユーザーのポータルサービスに対する関心は、いまだにさほど高くない。

 Vodafone live!が成功すれば、業界勢力をオペレーター主導に持っていけただろうが、同サービスの開始当初、一時的に不振に陥っていたNokiaは、Vodafone live!が軌道に乗る前に息を吹き返した。NokiaはS60などのソフトウェア開発分野にも力を入れており、開発者コミュニティの構築にも熱心に取り組んでいる。端末市場を見ると、Nokia、Motorolaといった大手はますますシェアを増やし、Vodafoneが協業しやすい中堅べンダーは大手に押されている格好だ。

 Vodafone事情に詳しい英Ovumのプリンシパルアナリスト、ジョン・デラニー氏は、Vodafone live!について「ひいきめに見て“良い”(Good)。“素晴らしい”(Excellent)とはいえない」と評価する。ただオペレーター主導のサービスに対する評価は、3Gサービスのみを提供する英3(Three)を除いて、おおむね同様だ。

 データからの収益はいまだにSMSが多くを占めており、マルチメディアメッセージングサービスなどのデータ通信による収益を増加させることが、数年来の共通課題となっている。しかしオペレーター主導のサービスでは、それを達成できていない。デラニー氏は、「欧州でのNokiaブランドはあまりに強い」と述べ、西欧市場は引き続き端末メーカー主導で動いていると結論付けた。

Photo

 Vodafone live!に関するVodafoneの資料を見ると、「Vodafone live!アクティブ端末数」という項目がある。それによると、2006年6月時点でアクティブ端末の台数は2919万3000台となっているが、これはVodafone live!対応端末の数であって、Vodafone live!の実質的な利用ユーザー数を示すものではない。VodafoneはVodafone live!の売上高を公開していないが、それに近いものとして、「サービスの売上に占める非音声サービス」の「データ」という項目を公表している。その直近の数字は4.9%。つまり、Vodafone live!が同社のサービス収益に占める割合は5%を切るレベルにとどまっているともいえる(SMSが該当する「メッセージング」と合わせると、非音声からの収益は全体の17.4%を占める)。

  • Vodafoneの売上高に占める非音声サービス(SMS含む)比率の推移
2005年6月末 2005年9月末 2005年12月末 2006年3月末 2006年6月末
ドイツ 19.30% 19.50% 20.40% 21.70% 21.20%
イタリア 14.90% 16.80% 17.40% 18% 17.30%
スペイン 13.70% 14.20% 14.80% 15.10% 15.70%
英国 19.30% 19.70% 20.70% 21.30% 20.90%
英Vodafoneが7月27日に発表した報告書より

 今後、Vodafoneがポータル事業をどのような方向に持っていくのかが、成熟市場の将来を左右することになる。なお同社は、NTTドコモ、NEC、パナソニック モバイル、MotorolaらとLinuxプラットフォームを共同構築することで提携するなど、端末メーカーとの連携強化を推進する動きも見せている(6月15日の記事参照)。

 データ収益以外で同社が、成熟市場のモバイル戦略の軸とするのは、ワイヤレスブロードバンド分野。3Gの普及とHSDPAのローンチを中心に展開する予定だ。HSDPAでは、2006年夏までに主要市場で提供を開始し、2007年半ばには現在の3G並みのカバーエリアを目指すという。ここでもポータル戦略は重要で、今後の動向に注目が集まる。

 次回は、モバイル業界に押し寄せる新しいトレンド、FMCの欧州動向とそれに向けたVodafoneの戦略を見ていく。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  2. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  3. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  4. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  5. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  6. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
  9. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  10. 【ニトリ】599円の「マルチスタンド」 スマホやタブレットのキッチン利用も便利 (2026年10月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー