番号ポータビリティ前に“先手”で仕掛けるKDDIの勝算(1/2 ページ)

» 2006年08月29日 19時53分 公開
[園部修,ITmedia]

 「我々のMNPは、9月1日から始まると考えている」──KDDIのau商品企画本部長、井上正廣氏は、8月28日に開催されたau新製品発表会の会場でこう話した。

Photo 発表会の冒頭で番号ポータビリティをにらんだ新端末投入だと話すKDDI社長兼会長の小野寺正氏

 携帯電話の番号ポータビリティ制度を「10月24日から開始する」と3キャリア連名で発表した同日、KDDIは他キャリアに先駆けて唯一、番号ポータビリティ利用時の手数料体系を公表し、さらに9月1日からは「新規加入仮予約サービス」を開始すると表明した。冒頭の発言からは、ユーザーの獲得に先手を打つかのようなKDDIの意気込みが伝わってくる。

 この“9月1日から始まるMNP”を控えて8月28日に発表された新端末は全12機種(8月28日の記事参照)にも上る。同社がこれだけ多数の新端末を発表するのは過去に例がないが、これは「多様化するユーザーのニーズに応え、すべてのお客様のご満足にお応えするための強力なラインアップ」(KDDI社長兼会長の小野寺正氏)にしたからだ。例年より2カ月近く前倒しで発表された新機種は、いずれも個性的な端末ながら、KDDIの強みである「音へのこだわり」と「デザイン」は各機種に共通している。

トータルな音質向上を目指し、ヤマハと協力

Photo 「我々のMNPは、9月1日から始まる」というKDDI au商品企画本部長の井上正廣氏

 KDDIがMNP対策の1本目の柱と考えるのが音楽機能だ。これについては、さらなる魅力の向上を図る。井上氏が「ケータイで音楽が再生できるのは、もはや当たり前になった。auのLISMO対応端末であれば、手軽に着うたフルやPCで取り込んだ音楽が楽しめる」と話すように、今やau端末はそのほとんどが音楽再生機能を備える。さらに同社はポータブルオーディオの代名詞“ウォークマン”の名を冠した「ウォークマンケータイ W42S」も5月に投入した。今後は「ケータイでの音楽再生は“単に再生できる”というレベルではなく、“ポータブルオーディオを凌駕する”レベルを目指す」と井上氏は言う。

 そのための施策として、今回発表した秋冬モデルで取り組んだのが“原音の追求”による本格的な音質の向上だ。秋冬モデルでは、ヤマハと協力して端末の高音質化を図った。具体的には、付属するイヤフォンや内蔵ステレオスピーカーに合わせて、それぞれの端末を個別にチューニングした音作りをしている。音作りの途中と最終段階で音楽関係者による評価も行い、フィードバックを得て万全を期したという。

 また、ヤマハが携帯電話の筐体設計について音質面からコンサルティングを行ったほか、圧縮によって失われる低域や高域の周波数成分を信号処理で補完する帯域拡張技術「DBEX」も多くの機種に組み込んでいる。DBEXは「W43H」のワンセグ視聴中にも有効にできる。

 音をよくするだけでなく、その再生環境までトータルにプロデュースするため、「au端末向けに開発してもらった」(説明員)というソニー製の高音質イヤフォン「MDR-E0931」を、「W41SH」「W43S」「A5522SA」の3機種をのぞく9製品で採用することも決めた。

 ヤマハをパートナーに選んだ理由として井上氏は、音楽や楽器分野で長年音作りに携わってきたこと、音楽への深い理解があること、良い音に対するこだわりがあり、それを支える評価基準やスキルがあることを挙げた。

 発表会ではヤマハの半導体事業部コンテンツプロデューサー山木清志氏の「ポータブルオーディオプレーヤーと同レベルの作りになっており、プレーヤーにこだわりがある人にも満足の行く音作りをした」というコメントや、エピキュラススタジオのチーフエンジニア 重田克美氏の「試聴したら、音自体が感動できる音になっていた。これまでは、音楽をただの情報として流しているようだったが、やっと携帯で音楽がちゃんと聞ける環境が整った。ケータイで音楽を聴いて感動するという時代に入っていく」というコメントを紹介。井上氏は「街中でいきなり感動して泣いている人がいたら、auの携帯で音楽を聴いていないか確かめてほしい」と話し、プロも納得の音質を実現したと胸を張る。

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