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» 2006年09月21日 14時55分 公開

3Gチップセット「M1」と半導体ソリューション「Medity」を発表──NECエレクトロニクス

NECエレクトロニクスが、3G携帯向けの新チップセット「M1」と、チップセットやソフトウェア、リファレンスデザインキットなどをセットにしたソリューション「Medity」を発表した。

[園部修,ITmedia]

 NECエレクトロニクスは9月21日、3G携帯電話向けチップセットとそれを取り巻く半導体やソフト、開発キットなどをワンパッケージにしたソリューション「Medity」を発表した。

 Medityはこの半導体ソリューションのシリーズ名で、名前はMobile Modem and Media Technology Platformからうまく語呂を合わせて命名したという。チップセット、システムLSIを動作させるソフトウェア、ソフトウェア開発に利用する評価用ボードなどのリファレンスデザインキット、通信ソフトやアプリケーションソフトの開発を支援する開発ツール、OSやミドルウェアの移植を行うシステムインテグレーションサービスの5つをセットにした形で提供される。

PhotoPhoto 左はMedity1の概念図。チップセットとソフトウェア、リファレンスデザインキット、開発ツール、そしてシステムインテグレーションサービスをすべてセットにしたものとなっている。右はMedity1のチップセットM1。デジタルベースバンドチップとアプリケーションプロセッサを統合した

 第1弾となる製品は「Medity1」という名称で登場する。チップセットには、すでにサンプル出荷を開始している、デジタルベースバンドチップとアプリケーションプロセッサを1チップに統合した「M1」(MC10038)を採用。RFICには旭化成マイクロシステムの800/1700/2000MHzに対応した国内向けの「AK1526」か850/1900/2100MHzに対応した海外向けの「AK1521」を利用し、アナログベースバンドLSIは同じく旭化成マイクロシステムの「C2767」を搭載している。電源ICはリコー製の「RC5T733」および「RC5T734」だ。ちなみにM1のサンプル価格は8000円/個。

 また合わせて通信プロトコルスタックやRTOS、ドライバなどの通信ソフトウェアと、アプリケーションの一部、ミドルウェア、OS、ドライバなどを含むケーションソフトウェアを提供。ソフトウェア開発用のリファレンスデザインキット(チップセットのデータシートやマニュアルを含む)や、ロク作成やデバッグ環境などを含むソフトウェア開発支援ツールも用意する。顧客のシステムに合わせてOSの移植やドライバの開発、ミドルウェアの移植なども「platforOViA」のパートナープログラムを通じて提供する。

PhotoPhotoPhoto リファレンスデザインキット、開発ツール、ソフトウェアの詳細

 このMedity1を利用すれば、従来は13チップくらいで構成されていた端末の基本部分が、9チップ程度で済み、実装面積はおよそ40%程度削減できる。「しかもその9チップの組み合わせは、NECエレクトロニクスによって動作が検証されているもので、細かな検証作業が必要ない」(第三システム事業本部長の中村一夫氏)。極端な話、リファレンスデザインをそのまま活用して端末を開発すれば、開発期間や実装面積は従来の半分くらいにできるという。

PhotoPhotoPhoto Medityチップセットを導入すれば、ソフトウェア開発などの工数を減らすことができ、端末メーカーはアプリケーションやコンテンツなどの差別化部分に注力可能になる。またチップ点数が13個前後から9個に減るため、コストダウンが可能なほか、実装面積が約40%削減でき、小型化にもつながる
Photo NECエレクトロニクス第三システム事業本部長の中村一夫氏

 これまでチップセットのみを供給していたNECエレクトロニクスが、周辺のデバイスや開発キットまで合わせて提供する理由について、中村氏は「韓国や欧米でもW-CDMAのインフラ整備が進んでおり、今年後半から大きく成長が期待されている。それに合わせてチップセットだけでなく端末開発に関連するソリューションをコーディネートして提供することで、端末メーカーの開発工数や端末原価の低減、端末の小型化に貢献できるから」と話した。

 実際、端末開発の現場では、共通仕様部分をプラットフォーム化して開発期間や価格を抑え、サービスやコンテンツ、アプリケーションなどの差別化部分に投資を集中させる流れが起きており、同社の親会社であるNECや松下電器産業は、端末開発時にソフトウェアなどを共通化し、デザインなど差別化要素に注力することを発表している(7月27日の記事参照)

 NECエレクトロニクスはMedityにより、世界のベースバンドチップ市場で約20〜22%にとどまっている同社のシェアを、2007年から2008年くらいをめどに30%程度にまで引き上げ、ナンバーワンの座を確固たるものにしたい考えだ。

 なおMedity1にはW-CDMAのみに対応したシングル版の「Medity1S」と、W-GDMA/GPRS/EDGEに対応したデュアル版の「Medity1D」という1つのラインアップが用意される。また次世代のMedity2では、NEC、NECエレクトロニクス、松下電器産業、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、テキサス・インスツルメンツの5社が設立した合弁会社アドコアテック(7月27日の記事参照)の技術も導入していく。

Photo Medityのロードマップ。時期は明らかにされていないが、アドコアテックの技術を取り込み、より高性能化したMedity2も提供予定だ

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