2006年のソフトバンクモバイル(10月1日まではボーダフォン。以下ソフトバンク)秋冬モデルで唯一、縦スライド方式を採用したのがサムスン電子製の3G端末「705SC」だ。スライド式の携帯電話では世界最薄(発表時点)となる薄さ約12.9ミリのスリムボディは、重さが約85グラム。今回発表された12機種の音声端末の中で最も軽いモデルとなっている。
ソフトバンクは、上質仕上げの質感と厚さ約17ミリ「705SH」が好評であることから、今回の発表で705SC、「706SC」、「705P」、「705N」の4機種を薄型ラインアップとして用意した。なかでも、サムスン電子製705SC/706SCの2機種は、どちらも13ミリを下回る極薄モデルだ。
ディスプレイは2.1インチのQVGA(240×320ピクセル)TFT液晶を採用。スライドのためのラッチやフックなどは用意されておらず、液晶側ボディを直接操作することで引き出せる。力はまったくいらないが、ボディがスリムで、フラットなラインのためダイヤルキーを露出させるのに若干とまどった。
発話/終話キーや、十字キーなどはそれぞれ独立したボタンになっているが、ダイヤルキーはシートキーになっている。この点は706SCと同様だ。スライド収納状態では、一定の時間が経つと自動的にキーロックがかかるようになっている。もちろん、キーロック中でも着信やメールの受信は可能。
ソフトバンクの孫社長は会見で、「現在の3G端末はあまりにも分厚い端末が多い。いくら多機能であっても、毎日持ち歩く携帯はコンパクトなほうが良い。ソフトバンクとしては、特に薄さについて訴求していきたい」と、今後も薄型ラインアップの拡充を示唆した。
706SC/705SCを担当した解説員は、こうした薄型化の要望に応えられるメーカーとしてサムスン電子の存在は重要だと話す。「サムスン電子は米国市場に約6ミリという薄さの端末を投入するなど、薄型化については定評のあるメーカー。端末を薄くするノウハウに関しては、しばらく国内メーカーが追いつかないレベルにあり、折りたたみ型・スライド型ともまだまだ薄くできる。薄型端末の拡充を目指すソフトバンクにとっては強い味方」(解説員)
さらに、通常は1年から1年半とされる開発期間だが、705SC/706SCではこれまでにない短期間で製品化を実現したという。「705SCと706SCについては、ソフトバンクによるボーダフォン買収とほぼ同じタイミングで開発をスタートした。10カ月を切る短期間で端末を発売するのは、おそらく初めてのこと。この短い期間で市場に投入できたのは、ボーダフォン時代も含め、海外でともに開発を行ってきた両社の経験があるから。こうした資産はソフトバンクにうまく継承できている」(説明員)
専用ボタンから「通話」「メール」「Yahoo!ケータイ」「メディアプレイヤー(ミュージックプレイヤー)」を呼び出せるマルチタスク機能の「スイッチバー」や、設定画面などのデザインを「サイクリング」「ポップ」「スライダー」「ブラック」の4つのスタイルから一括して変更できる「メインメニュースタイル」機能を備えるなど、内蔵ソフトについてはほとんど706SCと同じ仕様だ。一部、カメラやスライドによるキーロックなど、ハードウェア制御に関する部分に違いがあるだけという。
Microsoft WordやExcel、PowerPointなどのビジネス文書を表示する「PCドキュメントビューワ」を搭載するほか、日/英/韓のトライリンガル機能と英語/中国語/韓国語の翻訳機能を備える。また、最新サービスのYahoo!ケータイ、S!アプリ(メガアプリ)、国際ローミング、デルモジ表示、レコメール、Bluetooth、着うたフル、ミュージックプレイヤー、TVコール、電子コミックに対応し、10月上旬以降の発売を予定している。
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