どこまでデジカメに近づけるか──シャープの「910SH」が目指したもの:開発者に聞く「910SH」(1/3 ページ)

» 2006年10月27日 09時31分 公開
[園部修,ITmedia]

 ソフトバンクが秋冬モデルとして発表した13機種54色のラインアップの中でも、ユーザーの関心がひときわ高かったのがシャープ製のハイエンド端末「910SH」だ。

 910SHの最大の特徴は、国内キャリアから発売される端末としては初めてオートフォーカス(AF)機能を備えた光学3倍ズームレンズを装備した点にある。撮像素子も5メガピクセルのCCDを搭載しており、かつてないほどにカメラ機能が強化されている。

 ここまで徹底してカメラ機能を強化した理由はどこにあるのか。シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第二事業部商品企画部部長の山本信介氏、同商品企画部主事の石井裕樹氏と、国内情報通信営業本部通信システム第一営業部副参事の川口隆行氏に話を聞いた。

PhotoPhoto シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第二事業部商品企画部主事の石井裕樹氏(左)と、国内情報通信営業本部通信システム第一営業部副参事の川口隆行氏(右)

初めに5メガのカメラユニットありき

Photo 国内で初めて5メガピクセルカメラと光学3倍ズームレンズを搭載した「910SH」

 910SHの商品企画がスタートしたとき、最初に決まったのが「他社に先駆けて5メガピクセルのカメラを搭載すること」だ。海外メーカー製の端末の中には、10メガピクセルを超える画素数の撮像素子を搭載した端末も登場しているが(3月12日の記事参照)、国内ではこれまで、有効画素数は3.2メガピクセルが最高だった。

※スーパーCCDハニカムを利用した、記録画素数4メガピクセルのカメラもあるが、有効画素数は2メガピクセルなので、ここでは3.2メガピクセルを最高とした


 「最近のコンパクトデジカメの中には、10メガピクセルを超える解像度を持つものも出てきているので、今後もコンパクトデジカメを超えるカメラを携帯に搭載するのは難しいでしょう。しかし、910SHには最高のカメラ機能を搭載したかったので、5メガピクセルのCCDを採用しました。携帯のカメラとしては現時点で最強のものに仕上がっていると思います」(山本氏)

 CCDの具体的なサイズは非公開とのことだったが、「904SH」の3.2メガピクセルCCDと同じ大きさで、少し前にコンパクトデジカメに搭載されていたCCDとそれほど変わらないという。画質の高さにも自信を見せた。

 光学3倍ズームを実現したレンズユニットも、大きく手を加えて“最強”にふさわしいスペックを実現した。904SHなどに搭載されている光学2倍ズームは、ズームといってもテレ端とワイド端の2つの画角を“切り替えられる”という性質のものだった。しかし910SHでは、ズーム倍率が3倍に向上したのに合わせて、画角が11段階で変化するように変更されている。

 「従来はズームレンズとAF用のレンズが一体になっていて、ズームの途中で止めてもピントを合わせることができなかったため、ワイド端とテレ端でのみ撮影できるようにしていました。一方910SHでは、AF用のレンズがズーム用のレンズと別に動くように設計されているため、11段階のズームのすべてのポイントでAFが働くようになっています」(石井氏)

 レンズ構成は5群6枚で、これは904SHと同じ。ただ904SHでは、6枚のレンズのうち5枚がガラスレンズで、1枚はプラスチックレンズだった。910SHではこのプラスチックレンズをハイブリッドレンズ(ガラスの表面に樹脂層を形成した複合非球面レンズ)にして解像感を向上させている。

 また910SHでは、メカシャッターを採用しているのも特徴だ。一般的な携帯電話のカメラ機能では、CCDやCMOSそのものの電気信号を取り出す時間をコントロールすることで露光時間を制御する電子シャッター方式を採用しているものが多い。しかし910SHでは物理的に光を遮るメカシャッターを搭載しており、強い光源があるシーンなどで発生するスミア(白い縦筋)が防げる。このあたりも、カメラとしての機能がしっかり考えられている910SHのこだわりだ。

 カメラユニットの高機能化に伴い、レリーズタイムラグは904SHの約半分に短縮されているほか、AFの速度も、最速の場合従来の半分程度にまで高速化した。ボディや基板は、すべてこのカメラユニットを前提に設計されている。

Photo ヒンジ部の厚みを利用して、5群6枚の光学3倍ズームレンズを搭載した5メガピクセルカメラが組み込まれている
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