インタビュー
» 2006年11月15日 14時21分 公開

「D903i」開発者インタビュー(前編):音楽機能もボディカラーも、テーマは“親しみやすさ”──開発陣に聞く「D903i」 (1/2)

2.8インチ液晶搭載のスリムボディ、着うたフルやWMA対応の音楽プレーヤー、音を飛ばせるFMトランスミッター──。6代目スライドFOMA「D903i」が目指したのは、より多くの人が親しみをもって使える音楽携帯だ。

[房野麻子(聞き手:後藤祥子),ITmedia]

 「D903i」は、6代目の三菱電機製スライド型FOMAだ。初代スライドFOMA「D901i」では25ミリだった厚みは今や18.2ミリまで薄くなり、代替わりするたびに“スライドならでは”の新機能を打ち出してきた。ディスプレイの大きさやスリムなボディは「D902i」である程度、完成形ともいえる方向性が固まり、前モデルの「D902iS」にはその大画面を生かす「スピードセレクター」を搭載した。

 D902iSからD903iへの進化を、三菱電機の開発陣はどのように捉え、どのような形で端末に反映させたのか。三菱電機NTT事業部の増田英雄氏、同社商品企画プロジェクトグループの井上将志氏、同社デザイン研究所の藤城悠二氏に聞いた。

Photo 左から三菱電機 デザイン研究所の藤城悠二氏、三菱電機NTT事業部の増田英雄氏、同社商品企画プロジェクトグループの井上将志氏

コンセプトは“大人の女性が持てる上品さ”

 「D903iは、良い意味でD902iからのコンセプトを継承した端末です。スライドモデルはD902iで非常に良い評価をいただいたので、それをそのまま正統進化させました。イメージとしては、先々代のD902iがポップな感じで、D902iSは初めてカーソルキーにスピードセレクターを搭載したこともあって、それを中心としたややメカニカルな男性寄りのイメージでした。D903iは男性だけでなく、大人の女性にも似合う落ち着いた上品な感じにまとめました」

 商品企画プロジェクトグループの井上将志氏は、D903iのコンセプトをこう説明する。大画面と薄型スライドスタイルは前モデルの路線を踏襲しているが、カラーバリエーションは携帯電話では珍しい淡い色合いの4色を採用した。オーソドックスな黒やシルバー、強烈な青や赤といったカラーが多い中で、異色のラインアップといえる。

Photo D903iのボディカラーはサマーターコイズ、オータムゴールド、スプリングピンク、ウィンターホワイトの4色

 「大抵はどの機種にも男性向きカラーがあるものですが、D903iはそれがありません。ドコモの90xiシリーズではあまりない淡い色で、オーソドックスなものではないですね。“こんなカラーは、他社は絶対できないだろう、きっと手堅い色で来るだろう”と思っていました。だからこそ、90xiシリーズで、こういうラインアップをやってみたかったのです」(井上氏)

Photo 端末のデザインを担当した藤城氏

 「“職場でデスクの上に出してもしっくりくるカラーを”というユーザーの声も多かった。そこを意識して、あまりにも主張の強い色ではなく塗装も全光沢ではなく、金属のような鈍い光、奥行きのある輝きを表現しています」(藤城氏)

 新モデルが発売される時期には、旧モデルもまだ店頭で同じ棚に並んでいる。こうした事情も考慮して、従来機とは系統の異なるカラーを選択したのだという。

 「ピンクは(D902iのルミナスピンクのような)かわいらしいものではなく、男性でも持てるようなピンク、ユニセックスなカラーを目指しました。ゴールドにしても、派手な金ではなく、あえてツヤを落として落ち着いた本物の金属のような輝きを表現したつもりです。ターコイズは少々主張が強いと思われますが、これはD902iのプレミアムイエローやD902iSのマゼンタのようなコンセプトカラーという位置付け。白だけソリッドな質感にしたのは、シンプルな形をより引き立たせるためです。日光に照らすと分かるのですが、わずかにパールが入っていて、カーブしたところで輝きを強調するような塗装になっています」(藤城氏)

性別を選ばないデザイン、ディティールにこだわり

 ボディデザインのポイントになるのがスピードセレクターだ。ここには本物のアルミを採用し、内側を切削して宝石のような輝きを持たせたという。光る決定キーと相まって、落ち着いた中にもキラリと輝くアクセントになっている。

 「あくまでコンセプトは上品で落ちついたイメージですが、その中でもスピードセレクターがやはりポイントになります。そこをキラリとさりげなく目立たせました。」(井上氏)

Photo アルミ素材を採用したスピードセレクター

 エッジが立ったシャープさが際立つボディラインも、カラーリングと同様、ユニセックスな雰囲気に仕上げたと井上氏。90xiシリーズは全体的にユーザーの女性比率が低く、黄色やピンクを採用したD902iですら男女比率はやっと五分五分だという中、ハイエンドなスライドFOMAをもっと幅広い層に訴求したいという思いがあった。

 「D902iは女性ユーザーに評価していただいたのですが、D902iSでやや男性寄りになったため、D903iは、また女性の方にも買ってもらえるもの、男女比率が五分五分になるよう意識しています」(井上氏)

 「ハイスペック感が強すぎて、女性では使いこなせないのではないかと思われないように、男女を問わず手に取ってもらえるようなデザインに仕上げました。サイズも大きくならないように、設計担当と意識統一を図りながら開発しています」(藤城氏)

Photo 一枚の板を曲げたようなウェーブがかかっている
Photo 幅が1ミリ狭くなり、より手になじむようになったという

 D902iSより厚みが1.7ミリ、幅が1ミリ小さくなったボディも持ちやすさに貢献している。「数字だけを見るとたいしたことがないように思われるかもしれませんが、実際、手にするととても小さく感じます。またこのサイズだと、エッジを立てても違和感なく手に収まります」(藤城氏)

 デザイン面ではエッジを立てることによって表現したシャープさや精緻感が無機質にならないよう、一枚の板を曲げたようなウェーブを施して色気を出した。塗装の質感も、このウェーブが際立つよう工夫している。

 「D902iSのサイズだと、角を落として丸みを出さないと、持ったときに非常に大きく感じてしまうのです。今回のフラットでシャープなデザインを実現できたのは、設計チームとうまく連携できたからだと感じてます」(藤城氏)

Photo D902iSのマゼンタとD903iのウィンターホワイト。並べてみると、デザインの違いが分かる

FMトランスミッターを採用した理由

 903iシリーズは充実した音楽機能がウリになっている。D903iも、着うたフル/Windows Media Audio形式の音楽再生に対応し、それらの音をFMラジオに飛ばせる「FMトランスミッター」を搭載した。Bluetoothを使ったワイヤレススタイルや長時間再生などとは別のアプローチで、“ケータイで音楽”の新しいスタイルを提案している。

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