音楽機能もボディカラーも、テーマは“親しみやすさ”──開発陣に聞く「D903i」「D903i」開発者インタビュー(前編)(2/2 ページ)

» 2006年11月15日 14時21分 公開
[房野麻子(聞き手:後藤祥子),ITmedia]
前のページへ 1|2       

 「普通の人でも理解しやすい音楽の使い方をテーマにした」と、D903iの音楽機能についてNTT事業部の増田英雄氏は説明する。音楽周りの機能を搭載するにあたっては“PCや携帯の操作が苦手な人でも、気軽に携帯で音楽を楽しんでほしい”という思いを形にしたという。

 「PCや携帯を使いこなせる人たちばかりに向けて作ってしまうと、一般の人にとっては使いにくくなる場合もあります」(井上氏)。機能やスペックを追究するのではなく、携帯で音楽を楽しむことを身近に感じてもらえるような携帯のあり方を追求した結果、搭載することに決めたのがFMトランスミッターだ。

 「身の回りに対応機器がたくさんあるならBluetoothでもよかったのですが、今、一般の人が受け入れやすいのは何かと考えると、FMトランスミッターだったのです」(井上氏)

 FMトランスミッターなら、カーステレオや家のオーディオコンポに付いているFMラジオを利用でき、設定も簡単だ。また、D903iにはFMラジオも搭載されている。ラジオで流れている曲をNOW PLAYING情報取得機能で調べ、その着うたフルをiモードサイトから検索してダウンロードできる。これも音楽の敷居を低くして、幅広いユーザーが楽しめるようにしたい、という狙いの現れだ。

Photo 簡単操作で音を飛ばせるFMトランスミッター(左)。FMラジオも搭載

 「音楽機能は注目されていますが、実際に携帯で聴いている人はまだ少ないと思います。でもラジオなら、それほど敷居は高くないし、そこを入り口にして携帯で音楽を聴くスタイルがどんどん広げがっていけばと思うのです」(井上)

 もちろん、そこには他モデルとの差別化という意図もある。「再生時間を長くしたり、Bluetoothを使ったワイヤレスオーディオスタイルを提供したり、マルチDRMに対応したりといった、スペック的なものを追求するメーカーは結構あるかな、と予想しました。でも、D903iが狙うユーザーの中には、そういうことが響かない人もいるのではないかと。むしろ、車の中やお風呂の防水ラジオ、キッチンに置いたラジオで聴くなど、普通の生活の中で利用シーンがイメージできるような機能を盛り込みたかった」(井上氏)

Photo Napster To Goにも対応。イコライザーは8種類

 とはいいつつも、ミュージックプレーヤーは8種のイコライザを備え、着うたフルとWMAが混在したプレイリストも作れるなど、D902iSより性能は進化している。定額制の音楽配信サービスのNapster To Goにも対応しているので、PCや携帯を使いこなしているユーザーにも便利に使ってもらえると井上氏は胸を張る。

 「携帯で音楽を聴くためには、まず楽曲を入手するステップがあります。D903iではFMラジオを聴きながら入手してもらう方法のほかに、『Napster to Go』にも対応しているので、それなりのリテラシーがある人はPC経由で入手できます。そうやって取り貯めた曲は、FMトランスミッターを使って、クルマに乗っているときに聴くとか、FMラジオ付きヘッドフォンで聴くということが可能になります。幅広いユーザーに向けた入口と出口をキチンとサポートし、生活の一部として“携帯で音楽”を楽しめる──。これがほかの端末との差別化ポイントになるでしょう」(井上氏)

 インタビューの後編では、今後、三菱電機が目指すスライド携帯の方向性について紹介する。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  5. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  6. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  7. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  8. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  9. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
  10. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年