「赤耳」とARM9がもたらすサクサク感――開発陣に聞く「9(nine)」「9(nine)」開発者インタビュー(2/2 ページ)

» 2006年12月08日 02時30分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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小さいけど、使いやすいサイズ

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 9(nine)の特徴はシンプルさだけでなく、そのサイズにもある。携帯端末として欠かせない通話・メール・Webブラウズに絞り、デジカメの搭載を見送ったのも使いやすい機能のみをコンパクトに集約するためだ。

 「店頭に並べたときに、まずそのサイズが目を引くようにしたかったんです。発表後にWPC TOKYO 2006で実機を展示しましたが(10月18日の記事参照)、目にされる方はそのサイズに驚いていました」(田尻氏)

 実際、9(nine)の実物は写真で見るよりも一回り小さく感じられる。このサイズはむやみに小さくしたわけではなく、使いやすさを考慮してのものだという。特に全高は約124ミリで、ちょうどワイシャツの胸ポケットの深さと同じ寸法。これは、胸ポケットにしまった際に、端末がすべて隠れることを目指したからだ。

 「携帯端末を手にしたとき、自分の手にとって『大きい』と感じるか、『小さい』と感じるかは幅で左右されます。幅が狭いと、奥行きや高さがあっても小さく感じるんです。反面、使いやすさや搭載するディスプレイのサイズに制限がでます。9(nine)の40ミリという幅は、小ささと使いやすさのバランスを取った数字です。偶然にもiPod nanoと同じ幅なんですね。こちらは2インチの液晶を積んでますけど」(堀田氏)

 「厚みについてもW-SIMを内蔵するにもかかわらず、11.5ミリとかなり薄くなっています。W-SIMが収まる部分は表側に液晶、裏面には着信時に光るウィルコムロゴ(12月7日の記事参照)があって普通に作ればかなり厚みが増しますが、ここはメーカーであるケーイーエスさんに頑張ってもらいました。また、電池パックも保護フィルムの巻き方を工夫するなどして、容量や耐久性を損なわずに薄くしました」(田尻氏)

「赤耳」とARM9がもたらすサクサク感

photo “赤耳”ことW-OAM規格対応のW-SIM「X420AL」

 9(nine)のW-SIMセット版に付属するのが、W-OAM規格対応の新しいW-SIM RX420ALだ。RX420ALにはメーカーであるアルテルのコーポレートカラーである赤いラインが入っており、ウィルコム社内では「赤耳」と呼ばれている。4xパケット通信により最大204kbpsでのデータ通信が可能で、メール送受信やWebブラウジングなどの高速化が期待できるが、それ以外の効果もあるという。

 「W-OAMではこれまでPHSで使っていた変調方式(QPSK)に加えて、通信速度上げることができる方式(8PSK)と速度は低いがエラーに強い方式(BPSK)が扱えます。また、それぞれの変調方式を、電波条件にあわせて自動的に変えられるのが特徴です。これまでより高速に通信が可能というだけでなく、電波浸透が良くなることで、移動時や地下、屋内などの条件が悪い場合でも圏外になりにくくなります」(甲斐氏)

 W-OAMによって飛躍的にエリア面積が広がるわけではないが、これまで“死角”になっていた場所が減ることになる。田尻氏によると、9(nine)お披露目となったWPC TOKYO 2006会場では、あまりよい電波状況ではないものの通信速度の低下が抑えられていたという。

 さらに、9(nine)ではCPUにARM9を採用し、通信速度だけでなく端末の処理速度も向上させている。

 「端末を使ったとき、いかにサクサク動くかを念頭に開発を進めました。CPUに処理能力に定評のあるARM9を使い、通信速度の向上に合わせて端末の処理速度も上げています。WPC TOKYO 2006で展示したときに、あまり速度が出ていないのにWebサイトの表示が速くなったという感想が多くありました。これは端末が、HTMLを解釈し描画する速度が上がったためです」(田尻氏)

 決して良好ではない環境でも軽快なWebブラウズが行えるため、通信速度が上がればさらにサクサク感は増すと開発陣は口をそろえた。

 「ミニマルなデザインも、W-OAMやARM9の採用も、“毎日使うものだから、ちょっとよいものを”という考えの現れです。高機能で高性能な端末はごちそうですね、ごちそうは毎日食べられない。携帯は日々持ち歩くものですから、シンプルだけど質は高い方がよい。その答えが9(nine)なんです」(堀田氏)

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