“もっとも音がいい携帯”をめざして──「W43K」の挑戦:開発者に聞く「W43K」(3/3 ページ)

» 2006年12月14日 17時29分 公開
[園部修,ITmedia]
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デザインに込められた音楽へのこだわり

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 音楽携帯としての音と機能をとことん追求したW43Kには、もちろんデザインにもこだわりがある。W43Kのプロモーションカラーはブルーターコイズだが、開発当初はナイトブラックのイメージでデザインしていたという。

 「テーマはGraceful Design for Musicです。今まで音楽携帯というと、ポップなものが多かったと思います。そこでW43Kでは、これまでにない“大人が持てる音楽携帯”を目指し、ワンランク上の雰囲気を持たせています。ゆったりと回り込んだ側面形状などは、タンブラーやカクテルグラスなど、シンプルで美しい曲面形状をイメージしました。その中に、(背面に見られるような)透明感のあるマテリアルや金属感を入れていくことで、大人が持てる上質感を盛り込みながら、ドキドキするような感覚を表現しています」(播磨氏)

 当初、ナイトブラックの外観はピアノブラックのような光沢のあるつるっとした黒を考えていた。しかし、ありきたりな塗装ではなく、もっと違う質感を求め、裏側にディンプル(くぼみ)があるインモールド成型の樹脂を採用。表面は平らで光沢があるが、裏に金型でくぼみを設け、さらに裏から塗装して、透明感とスピーカーのネットのような雰囲気を併せ持つボディを実現している。

 ちなみにこのスピーカーのような外観というコンセプトは、W43Kの企画をスタートさせた当初にあった“背面の全面をスピーカーにする”という「無茶な案」(川居氏)から生まれた。イメージ通りのものを作るため、何度も金型の試作を繰り返した。くぼみを表現するための金型は、表面を極細の針で削って作るのだが、深さも「0.1ミリでは浅いので0.15ミリにしよう」といった試行錯誤を繰り返し、「金型の限界に挑戦しました」(川居氏)。くぼみのパターンも整然と並んでいるように見えて、曲面の部分などは違和感のないように配列を工夫している。播磨氏が「設計部門のCADの横にくっついて調整してもらったり、何度も試作を繰り返したりしました」と話すだけのことはあり、「仕上がりは納得のいくもの」になった。

 カラーバリエーションとして用意されているシャイニーシルバーは、やはりオーディオ機器を念頭に置いて決めた。高級な単品コンポのような、いろいろな質感の金属が組み合わさってできた固まりをイメージしている。側面やディンプルの部分などは、同系統の色ながら、すべて異なる色に塗装してあり、質感の違いを表現した。

 一方ブルーターコイズは、単純に鮮やかな色という訳ではなく、カクテルのようなブルーをイメージしている。アクセサリーやジュエリーのような輝きと透明感のあるブルーで、3色の中ではひときわ目を引く色となった。播磨氏はやはり黒が好きだと話していたが、京セラの社内ではブルーターコイズが人気だったようだ。

 なお、センサーリングキーの色はナイトブラックだけが黒く、シャイニーシルバーとブルーターコイズは銀色だ。一般的に、静電式センサーの上に金属質のものを載せることはしないが、センサーリングキーは不連続蒸着を施した上で塗装してあるという。

 このほか、音楽携帯として非常に使用頻度が高い平型イヤフォン端子のカバーをスライド式にしたり、キーロックの位置を端末の上部に配置したりと、細かな部分にもで配慮が行き届いている。

 「イヤフォン端子は頻繁に開閉するのでスライド式にしました。しかも、設計に無理を言って、レールが見えないようにドアが内側にスライドするようにしています。同じスライド式のカバーでも、レールが外側にあると、長年使っている間にレール部の塗装が剥がれてきたりしてかっこわるくなる可能性があります。でもW43Kのように内側にスライドするようにすれば、その心配はあまりありません。キーロックも最初は下の方にあったのですが、それでは使いにくいと考え、レイアウトを一から見直しました。キーロックもイヤフォン端子も端末の上部に配置して、握ったときに操作しやすくしています」(播磨氏)

PhotoPhoto W43Kの表面は、インモールド成型により、光沢のある平らな面の奥にスピーカーネットのようなくぼみを表現している。側面の仕上げも2パターンの色合いを使うなど、細かな部分にもこだわりがある。使用頻度が高い平型イヤフォン端子のカバーはボディの内側にスライドするデザインとした
Photo 端末の内側にもこだわりがちりばめられている。押しやすいよう、間に溝を用意した大きめのダイヤルキー部に光沢を持たせ、周辺部をマットな色調とすることで、閉じた状態の外観と似たような雰囲気に仕上げた。

「やりたかったことは全部できた」

 このように、誰も気付かないような部分にまでこだわりと配慮が行き届いたW43Kだが、開発中に断念したことや、実現できず心残りなことはなかったのだろうか。

 川居氏と播磨氏は、口をそろえて「やりたかったことは全部できた」と答えたのが印象的だった。企画から最終製品に至るまでのプロセスには、デザインや企画担当からの無茶な依頼や、設計や製造部門の反対などもあったと思われるが、すべてのメンバーが協力し合い、当初やりたかったこと、入れたかった機能はほとんど実現しているという。

 W43Kが目指した“もっとも音がいい携帯”は、最高の形で結実したようだ。

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