P902iSとW44Tは、それぞれBluetooth対応端末でありながらその機能や使い勝手は所々で異なる。
P902iSは、ワイヤレスでのハンズフリー通話と音楽再生にほぼ特化しており、単純にワイヤレス化のために汎用性のあるBluetoothを採用した端末という印象が残る。FOMA端末においてはソフトウェアをNECと協業で開発している関係上(実際にはNECで開発したものをベースにパナソニック モバイルが手を入れていると思われる)、さまざまなデータ転送などにまで対応するのが大変という事情もありそうだ。
そういう意味ではBluetooth対応端末としては中途半端な気もするが、ハンズフリーや音楽再生以外の機能を利用するユーザーが現時点でどれだけいるかを見越した(その分、ほかの機能の開発を優先した)、という見方はできる。製品の位置付けとしては広告などで大きくアピールする「ワイヤレスミュージックケータイ」であり、いわゆる「Bluetoothケータイ」ではないのかもしれない。
対してW44Tを製造する東芝は、2004年発売の「A5504T」以降、定期的にBluetooth対応端末を投入し、ハンズフリーを含めてBluetoothで汎用的に利用できる便利な機能を搭載してきた。その上でW41Tでの反省(HDD搭載による大型化や専用フォーマットでのA2DP)をふまえて登場したのがW44Tである。
こちらは明らかにBluetoothケータイと呼べる機能を備えているといえる。現時点においてはレシーバーの選択肢がやや狭いのが難点(SCMS-T対応製品のみ)ではあるが、独自規格を採用したわけではない。今後利用可能なBluetooth機器も増えるだろうと思われる。
キャリアの異なる両機を比較することは、複数のキャリアの端末を常に同時所有するようなヘビーユーザー以外にはあまり意味はないとは思う。ただし、番号ポータビリティの開始により端末選択の自由度も増えたし、Bluetoothが必要というユーザーも少なくはないだろう。
携帯ユーザーが望む機能のうち、Bleutooth機能の優先順位はさほど高くないかもしれないが、Bluetoothは一度使い慣れてしまうと手放せなくなっているユーザーが多いのも事実。NTTドコモからKDDI、あるいはその逆への移行を考えているが、どちらにもBluetooth対応機があるから大丈夫というわけにはいかないかもしれないことは、今回試したP902iSとW44Tの比較で分かるのではないだろうか。
NTTドコモ「P903i」 |
NTTドコモ「P902iS」 |
KDDI「W44T」 |
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