「FeliCa」「音楽」「GPS」が広がった2006年──Bluetoothはいまだ低空飛行2006年の携帯業界を振り返る(2)(3/5 ページ)

» 2006年12月29日 23時58分 公開
[聞き手:房野麻子,ITmedia]

Symbian、Linux、Windows Mobile──携帯のOSに思うこと

ITmedia 機能ではないのですが、「Windows Mobile」が今年、日本ではだいぶ認知されたと思うのですが、この辺はどのように見ますか? ビジネスユースに食い込んでいけるでしょうか。あるいは、あくまでもマニア向けのものでしょうか。

神尾 マニアの石川さんにぜひ伺いたいのですが(笑) 使いやすいですか?

石川 あれはマニア向けだと思いますねえ、正直なところ。すごく使いやすいかというと、そうじゃないと思います。あくまでカスタマイズして楽しむもの、プラモデル感覚だと思うんです。

神尾 カスタマイズといっても、あのフラッグを消せないというだけでちょっと……

石川 (笑)

神尾 私はマイクロソフトのロゴとフォントが大嫌いなんですよ(笑)。(Windows Mobileは)完全にマイクロソフト色が抜けていないじゃないですか。その点、いいなと思うのはSymbian OS。なんで許せるかというと、UIをメーカーが全部作り変えられるから。私が認められるWindows Mobileは、マイクロソフトのUIがないWindows Mobile。それだったらCE(Embedded)でいいじゃんってことですが。

ITmedia マイクロソフトとしては、PC上でみんなが慣れ親しんだUIを小さいデバイスでも実現しよう、という思いがあるので、フラッグのないWindows Mobileは難しいでしょうね。

神尾 PCサイズでも使いにくいUIを携帯に持ち込むな、と言いたいですけどね。そもそもWindowsは、PCのサイズですら使いにくいのに、それを小さいデバイスに持ってきたら、より使いにくくなるに決まっていますよ。Windowsだけじゃない。Mac OSだって、携帯電話やモバイル端末に持ち込んだら、いくらデフォルメしていても使いにくい。だからiPodは専用UIなわけです。

 UIというものは、それぞれのハードウェアと切り離せない部分があるんです。例えばカーナビ。カーナビだってWindowsが入ってきています。カーナビに採用されている「Windows Automotive」は私もすごく優秀だと思っているのですけど、あれはUIがOSから切り離されているんですよ。スキンという形でメーカーが自由にハードウェアに合わせたUIを作れるんです。そして、一方でカーネルやアプリケーションレイヤーの部分は共通化されているので、Windowsを入れるメリットが得られる。携帯でもそれをやらないと。

石川 その点を考えると、「W-ZERO3[es] Premium version」のように、メーカーが独自でデバイスに合わせたUIを作ってくるというのは正しいと思うし、メーカーとしての1つの差別化になるのかなと思います。「hTc Z」に勝つためにはああいった取り組みが必要だし、メーカーとしてやるべきことのような気がするので、いいと思いますね。

神尾 あとは反応速度でしょうね。Symbianですらイライラするのに、Windowsなんか使えるか、って思ってしまう。

石川 それでまた、よくフリーズしているんですよ。自分の持っている[es]でも「あれ!?」っていうことがあるんです。

ITmedia 電話がフリーズするのはマズイですね。

神尾 今のWindows Mobileは、一般ユーザー向けの携帯電話に積んではいけないOSですよ。マイクロソフトはWindows Mobileの信頼性や反応速度の向上と、メーカーに対するUI開発の全面的な開放をする必要があると思います。そうでないと、“普通の携帯電話”にはとても搭載できない。

石川 あくまで2台目であって、メインにはならないかな、という気がします。だからウィルコムと相性が良かったのかな、とも思うんですが……

神尾 [es]だったら許せるっていう感覚ですか? でも、hTc Zと比べると[es]は質感がもうひといきですよね。hTc Zを見たときは、ハードウェアとしての出来はいいと思いましたよ。

石川 そう、そこですね。やっぱり[es]も質感はPHSなんだな、という感じでした。インセンティブがないから仕方がないというのはわかるんですが、やっぱり携帯は持ち歩くものなので、質感は重要だなと思います。

神尾 シャープやウィルコムにそこまで度量があるかどうかわかりませんが、価格を10万円にすればよかったんです。10万円だけど素材からこだわって作れば、その方がもっと売れたと思うんですけどね。シャープだけじゃなくて、他のメーカーも(そういうことを)やってもいいかもしれない。フルキーボードを入れるんだったら、樹脂っぽさをなくしたほうがいいですね。樹脂だと堅牢性が感じられず、ヤワに見えるんです。価格設定を高くして、ソニーの「VAIO type U」くらいでも良かったんじゃないかなって気がしますけどね。

ITmedia “買う人が買う”というものに、あえてなるということですね。

神尾 キーボード付きのモバイル端末はマニア向けでしょう。というのも、日本語ってフルキーボードになってもあまりうれしくないんですよ。1バイト文字の英語と違って、タッチ数が劇的には減らないから。

石川 どんなにやっても、[es]で長文を打とうという気にならないんですよね。

神尾 むしろ携帯の優秀な予測変換で、片手で打つ方がうれしいですよ。

 汎用OSに関連して、私が今年、おっ!とうならされたのは「P903i」の反応速度が速くなったこと。私、Linuxを携帯電話で使うのってやっぱり難しいな、とずっと思っていたんですね。反応速度が遅いから。少し前までの“P”と“N”の遅さといったら、とてもじゃないけど耐えられないって感じだった。でもP903iは速いんですよ。「N903i」も若干速くなっていますね。ハードウェアの見直しと、ソフトウェアの追い込みがかなり効いているんじゃないかな、と思っています。P903iになって初めて、Linuxを積んだ携帯が普通に良いものになってきたと思いました。

ITmedia “P”は松下グループのデジタル家電向け統合プラットフォーム「UniPhier」(ユニフィエ)に一新しましたね。

神尾 あれは効いてる! 普通のクラムシェルだったら、903iシリーズの一番はP903iだと思いますね。でも、ワンプッシュオープンはいいとして、カスタムジャケットは一回離れてもいいと思いますけど。

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