目指したのは“手のひらサイズのネットPC”──VGA画面の「W51H」が生まれるまで「W51H」開発陣インタビュー(前編)(2/2 ページ)

» 2007年02月06日 01時08分 公開
[石川温,ITmedia]
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この3つがあるからこそ、W51Hが“ネットケータイ”として成り立つ

 “ネット派に向けたポータルケータイ”をうたうからには、使いやすさにこだわりたい──。そんな開発陣の意気込みを感じさせるのが、VGA対応PCサイトビューアー+2.9インチWVGA液晶+スマートセンサーの組み合わせで実現した“PCライクな操作性”だ。

 「ネット派に向けた“ポータルケータイ”というコンセプトのもと、ネットケータイとしての利便性を考えた3つのポイントを盛り込んでいます。まず1つが、2.9インチでワイドVGA対応のIPS液晶。そして、指先で快適に操作できるスマートセンサー、最後が大画面を生かした横表示対応のPCサイトビューアー。この3つがあるからこそ、W51Hがネット派ケータイとして成り立っているのです」(吉田氏)

 ワイドVGA対応の画面は、ディスプレイを表にした状態で折りたたんで横向きにすると、PCのような800×480ピクセルの横表示になる。PCサイトビューアーは、端末をこの状態にすると自動で横表示になり、一般的なPC向けのWebページを表示させるとサイトの横が切れることなく1画面に収まる。そしてPCのような操作を可能にするべく搭載したのが、なぞってスクロールしたりダブルタップでリンク先にアクセスできるスマートセンサーというわけだ。「WVGA液晶は、従来のQVGA液晶に比べて解像度が4倍になるので、1画面当たりの情報量が格段に向上します。表示領域は5倍になるので、一覧性も高い。表示倍率も20%から200%に切り替えられるので、PCのようなUIでサイトを見たい人、大きな文字で見たい人など、さまざまなサイト閲覧のニーズに応えられます」(同)

Photo 縦画面時にURLなどを入力してサイトを表示させ、そのままディスプレイを表にして折りたたむと自動で横表示になる

 春モデルの多くに搭載されるPCサイトビューアーは、端末内の画像をブログにアップロード可能になったほか、タブブラウザにも対応し、最大3つのページを切り替えて表示できるようになった。FLASH表示への対応やサイト上にあるPDFファイルのダウンロードも可能になるなど、PC用ブラウザでできることへの対応が徐々に進み始めている。

 日立製作所の開発陣は、W51Hを開発するにあたって、“全部入り”という分かりやすい高機能を目指すのではなく、キャリアのPCサイト閲覧機能の拡張に歩調を合わせて進化する道を選んだ。そしてデバイスやUIを最適化し、“ネットケータイ”という新ジャンルの端末を生み出した。W51Hは明確なコンセプトのもと、そこにフォーカスしたこだわりの末に生まれた端末といえるだろう。

 インタビューの後編では、スマートセンサーを使いやすくするための工夫や基本機能の進化、デザインのこだわりについて開発陣に聞く。

VGA液晶の威力が分かる待受コンテンツ──「1年残量計」

 日立製作所では、W51HのワイドVGA画面の便利さをユーザーに実感してもらおうと、ユニークな待受画面をプリセットしている。

 「ワイドVGAでしか実現できない待受画面として、“1年残量計”を入れました。1年365日のすべての日付を一画面上に表示し、終わった日は色が変わるようになっています。今、1年のうちのどのくらい経過したのかが分かるので、忙しい人は(あっという間にカレンダーの半分くらいに色が付いて)ちょっと怖いかもしれません(笑)。この待受画面を見れば、一目でワイドVGAの威力を理解してもらえると思います」(岩間氏)

Photo 1年365日を1画面で表示する“1年残量計”待受画面。「“本当に1年分の日付が入っているの?”とよく聞かれますが、ワイドVGAだとこれが入るんですよ」(岩間氏)

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