“17ミリ台”を死守せよ──妥協なきハイエンド携帯、開発の裏側開発チームに聞く「911T」(3/5 ページ)

» 2007年03月23日 10時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

ユーザーを“迷わせない”ために採用した、現状最高スペックのディスプレイ

photo ワイドVGA表示対応の3インチディスプレイ。ワンセグだけでなく、これだけ解像度が高いと、PCサイトブラウザや地図アプリも積極的に活用したくなる

 ディスプレイのワイド化はここ最近の携帯のトレンドの1つ。特にワンセグ対応端末で積極的な採用が進んでいる。

 911Tはそこからさらに進化し、携帯として2007年3月現在、最大サイズかつ最大解像度となるワイドVGA(800×480ピクセル)表示対応の3インチディスプレイを採用する。

 「まずワンセグだけにフォーカスすると、ディスプレイにワイドVGAの解像度は必要ありません。そもそもワンセグの放送出力サイズが320×240ピクセル、あるいは320×180ピクセルですから、QVGA(320×240ピクセル)ほどでも実は十分。解像度より、絶対的な画面サイズの方が短絡的な訴求ポイントとなります。しかし、PCサイトブラウザやPCドキュメントビューアなどはどうか。これらの機能は、画面サイズと解像度の高さがそのまま快適さへ直結します。そのためユーザーが“ワンセグ”か“高解像度対応機能”か、どちらにしようと迷わなくていいよう、そもそも最高スペックのディスプレイを採用しておこうということにしました」(影長氏)

 ワンセグ対応の音声端末でVGA(640×480ピクセル)クラス以上のディスプレイを採用する端末はまだ少ない。ユーザーから、高解像度ディスプレイを採用する端末とワンセグ対応端末、どちらかで迷っているという声が多数届いていたという。そのため、そんな迷いは不要と思えるよう、携帯としては最高クラスのディスプレイ採用を決めた。

 「ちなみにワイドVGAうんぬんという以前に、実はワイドディスプレイも当社の端末として初となる挑戦でした。ワイドディスプレイはワンセグ視聴のほか、一覧性や表示情報量が向上するのがメリットの1つですが、それはもう当たり前。では“ワイドならでは”の機能も加えてみてはどうだろう、という企画も同時に持ち上がりました」(影長氏)

 それが“ミニツール”である(レビュー参照)。Windows Vistaのガジェット機能がヒントになったようで、ワイド化で広がった分の約160(縦)×480(横)ピクセルほどを活用し、ニュースや天気、保存したスケジュールやメモ内容、くーまんなどのさまざまな情報・機能を常時表示できる仕掛けを新たに搭載した。

 「表示する情報はユーザーが選択できるようにしてありまして、弊社の携帯情報サイトからダウンロードして追加することもできるようになっています。PIM的に使える情報表示用のほか、“英会話とっさの一言”や“くーまん”などのツールも用意しました」(影長氏)

photophotophoto ミニツール「英会話とっさの一言」。英語の文例、日本語訳の両方が単語帳をめくるように順次表示され、ちょっとした英語の勉強ができる。文例集は同社の携帯情報サイトで追加配信も行われる予定

 「もちろんワイドディスプレイのメリットはミニツールにいかすのではなく、PCサイトブラウザやPCドキュメントビューア、ワンセグ、カメラなど、画面情報量の多さが重要となる機能にはミニツールを非表示にしてフルスクリーンで表示できます。また、待受画面やメール一覧、メール閲覧画面などはユーザーがミニツールを表示するかどうかを選択できるようにもしました」(伊藤氏)

 「加えて、PCにおけるガジェット的な使い勝手を実現できるよう、ミニツールの表示中は“ショートカットメニュー”の最初にフォーカスする項目から、その関連機能を即座に呼び出せるよう工夫しました。ちょっと話がずれますが、ショートカットメニューもここ数年、当社の携帯へこだわって搭載してきた機能なので、“今回、東芝製携帯は初めて”という方も東芝流の使いやすさを体感して頂ければいいなと思っています」(伊藤氏)

 ミニツールは短絡的に考えると非ワイドディスプレイ向けのUIを流用し、手軽にワイドディスプレイ表示に対応したように見える。しかし実際はUIの手直しより、企画・ソフトウェア設計なども含めて余計に手がかかった部分も多いようだ。目新しさだけでなく、きちんと実用性にこだわったことに加え、今後、機能追加も可能ということも“ハイエンド機”ならではと思え、好感が持てる部分だ。

photophotophoto メール画面などでは、ミニツールを表示するか否かを選べる。ミニツールのスケジュール表示機能は、当日分のスケジュールを最大4件表示できる。使い勝手へのこだわりは細かい
photo ミニツールのスケジュール機能。待受からショートカットメニューを呼び出すと、即スケジュール機能へフォーカスが当たり、即座にミニツールに関連する機能が呼び出せるようになっている

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