「プラダケータイ」をリリースしたLG電子のブランド戦略韓国携帯事情(2/2 ページ)

» 2007年05月28日 15時09分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
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 2006年10月に発表されたShineは、チョコレートフォンと同じブラックラベルシリーズとして企画した野心作だ。発売直後には韓国で1日1000台以上を売り上げ、2007年1月の海外販売開始後には、欧州で4週間で20万台を売るなど好調に推移。この5月に全世界の累積販売台数100万台を達成した。Shineは、発売から現在まで地上波DMBを追加したり、ストレートタイプのバリエーションをロシア向けに発表するなど、さまざまなバリエーションを生み出している。

photophoto 「Shine」こと「LG-SV420(SKT)/LG-KV4200(KTF)/LG-LV4200(LGT)」。ステンレス素材を使用した本体とミラーLCDが、キラキラしたイメージを強調している(左)。ストレートタイプのShine。9.9ミリというスリムなボディに、200万画素カメラや外部メモリ(microSD)を搭載した

 ブラックラベルシリーズの特徴は、マーケティング面にも現れている。2006年6月に発売したスペシャルエディションの「チョコレートフォン II」では、ディスプレイ下のゴールドプレートに購入者の名前を彫るサービスを実施。さらに、革製品などで有名なブランド「S.T. Dupont」の皮製ケースも提供した。

 またShineは、BMWと共同マーケティングを行い、BMW売り場にShineの体験ゾーンを設けている。この取り組み以前にも、BMWの広報用映画にShineが登場するなど、共同マーケティングは以前から行われていたようだ。

photo チョコレートフォン II スペシャルエディション。インターネットで1000台限定販売された

Googleとの提携も

 ブラックラベルシリーズ以外にもLG電子では、ユニークなデザインの携帯電話を販売している。

 チョコレートフォンやShineの路線を受け継ぐものとして、黒地の本体にLEDが浮かびあがるものや、メタリックな質感の携帯電話をいくつかリリースしている。ヒットした端末のデザインを応用した例といえるだろう。これらとは異なるが、端末を顔の輪郭に合わせ、バナナのようなカーブをつけた「バナナフォン」もユニークな製品として話題だ。

photophoto 「LG-SB270(SKT)/LG-KB2700(KTF)/LG-LB2700(LGT)」。地上波DMBを見ている途中に着信すると、自動的に録画を行うタイムマシーン機能を搭載。黒地の本体にLEDが浮かぶ、チョコレートフォン路線の端末(左)。“バナナフォン”こと「LG-SV280(SKT)」。ダイヤルキーからラベンダーの香りがするほか、着信・メール受信の際にサイドのオレンジパーツが光る
photo “JoY”こと「LG-KS10」。HSDPAに対応し、2.4インチの液晶ディスプレイ、200万画素カメラ、Bluetooth、ミュージックプレーヤーを搭載する

 さらにIT界のトップブランドともいえるGoogleとの提携により、スマートフォンも開発中だ。イタリアで販売されている“JoY”こと「LG-KS10」は、Simbian OSを搭載したフルブラウジングが可能なスマートフォンだ。

 LG電子は3月にGoogleとの提携を発表したが、その際の予告どおり「Google Search」「Gmail」「Google Map」といった機能がJoYに搭載されている。LG電子によるとGoogleサービスを搭載したLG端末は、2007年内だけで10以上登場する予定であるという。

 LG電子は2006年6月、全ての製品とサービスをデザイン中心に開発するという「デザイン経営」宣言を行っている。これは、技術に合わせるだけのデザインを脱皮し、最初からデザインに焦点を当てた商品企画や設計、マーケティングなどを行うだけでなく、広告、ショップディスプレイ、サービスにいたるまで、すべてをデザイン中心で行っていく経営方針だ。この方針の下、「もっとも売れる(Best Selling)「もっとも高級な(Most Advanced)」「世界初の(World First)」という3つを実現した製品作りに注力している。

 デザイナー育成のために海外の大学や企業と提携した教育を行っているほか、現在500人いるデザイナーを2010年までに700人に増やすなど、人材確保にも熱心だ。こうした経営方針がLG電子のデザインを支えているといえるだろう。

 ただし、LG電子がデザイン経営宣言を行ってからまだ約1年しか経っていない。人材が成熟してくるのはこれからであり、今後さらに斬新かつ優れたデザインの携帯電話が、LG電子から生み出されるだろう。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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