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» 2007年06月09日 23時58分 公開

3G携帯に組み込む場合は技術の使用料を無償に──携帯向け放送の「MediaFLO」MediaFLO Conference 2007(1/2 ページ)

クアルコムジャパンは6月8日、携帯機器向けの放送技術「MediaFLO」の技術や動向を紹介する「MediaFLO Conference 2007」を開催。多くのチップベンダーや端末メーカーにMediaFLOを採用してもらえるよう、技術の使用料を無償としたい意向を明らかにした。

[園部修,ITmedia]

 クアルコムジャパンは6月8日、携帯機器向けに特化して開発された放送技術「MediaFLO」の最新動向や技術を紹介する「MediaFLO Conference 2007」を開催した。

 MediaFLOは、約4年ほど前に米QUALCOMMの研究開発プロジェクトから生まれた、携帯電話のような小型のデバイス向けに特化した放送技術だ。モバイル向けのテレビという点では、ワンセグ(ISDB-T)や欧州で広く採用されているDVB-H(Digital Video Broadcasting for Handheld)のような、地上波で放送されている映像を携帯端末でも見られるようにした技術と機能面で似通った部分があるが、開発時点からモバイルでの利用を想定して作られているのがMediaFLOの大きな特徴となっている。

 米国では、QUALCOMM自身がオークションにより700MHz帯(UHF帯の55チャンネル)の周波数を取得し、運営会社MediaFLO USAを設立して、携帯電話オペレーター向けにサービスを提供している。2007年3月1日には、米Verizon Wirelessによる商用サービス「V CAST Mobile TV」が始まった。

 日本では、現在総務省が進めている、2011年の地上波テレビ放送のデジタル化に伴う周波数再編計画に対し、多くの企業が米国と同じUHFの700MHz帯での周波数割り当てを提案し、意見を表明していた。先日公表された総務省の「VHF/UHF帯における電波有効利用方策に関する考え方(案)」によれば、VHF帯の上位(207.5M〜222MHz)をテレビ以外の放送技術に割り当てる案が提示されており、この帯域がMediaFLOに割り当てられる可能性が出てきている。

「MediaFLO技術の使用料は無償にしようと提案している」──クアルコム山田社長

Photo クアルコムジャパン代表取締役社長の山田純氏

 MediaFLO Conference 2007を主催したクアルコムジャパンの代表取締役社長、山田純氏は「日本の携帯電話の人口普及率が80パーセントを超えた今、求められているのはより高度な、利便性の高い、楽しいサービスだ」と挨拶。クアルコムとしては放送と通信を融合するサービスこそが、ユーザーニーズに応える重要な分野だと確信し、MediaFLOを推進しているという。

 山田氏は「携帯でテレビが見られるワンセグは、すでに普及が始まっており、今後ワンセグをどう発展させていくかという議論も活発に行われている。それと同時に、携帯電話に最適化された、より高品質でより多彩なサービスを提供できる、MediaFLOのようなプラットフォームがあってもいいのではないかという議論も進んでいる」と、業界の動きを紹介。現在総務省で進んでいるアナログテレビ周波数の再編では、MediaFLOを含む新しいプラットフォームを空いた周波数帯に導入していこうという動きがあり、「クアルコムとしては非常にありがたく思っているし、重要な動きであると感じている」と話した。

 クアルコムジャパンでは、再編によって生じる周波数帯を新しいプラットフォームに割り当ててもらえるよう、全社を挙げてさまざまな取り組みを行っているという。その1つとして山田氏が紹介したのが「MediaFLO技術の使用料を無償にする」という提案だ。

 「クアルコムとしては、MediaFLOを3Gの携帯に組み込む場合、技術の使用料を無償にすると提案している。MediaFLOのデコーダチップを作るチップベンダーには、チップに対しての使用料を無償にしたいと考えている。できるだけ参入障壁をなくし、多くのチップベンダー、端末メーカー、ひいてはコンテンツプロバイダに、MediaFLOプラットフォームを使ってもらえるようなしくみを用意すべく取り組んでいる」(山田氏)

「モバイルテレビ市場は大きく成長する」──オマール・ジャベード氏

Photo 米QUALCOMM MediaFLOテクノロジ部門 ビジネスディベロプメント バイスプレジデントのオマール・ジャベード氏

 続いて登壇した米QUALCOMMのMediaFLOテクノロジ部門ビジネスディベロプメントバイスプレジデントのオマール・ジャベード氏はワールドワイドでのモバイルテレビ市場の可能性について「携帯電話のディスプレイこそが、映画館のスクリーン、テレビに続く第3の画面である」と話し、テレビをも置き換えうるものになっていくとの考えを披露した。

 「人々の初期の映像体験は映画館のスクリーンだった。映画館では多くの人が同じ画面を一緒に見ていた。しかし放送技術の発達とともに主流はテレビになり、画面を一緒に見るのは家族だけになった。そして、自分以外の人が見ることはほとんどない、パーソナルな画面を持つ携帯電話は、テレビに次ぐ映像体験の場となる」(ジャベード氏)

 同氏によれば、世界の人口が約66億人であるのに対し、携帯電話を持っている人はそのうち約23億人だという。そしてその数は向こう10年で確実に増加する(5月14日の記事参照)。「世界の人口の約3分の1は携帯電話を持っている。2007年のモバイルテレビの加入者は1230万人くらいだが、2011年には2億1620万人にまで増えるとの予測もある。モバイルテレビの市場は大きく成長する」とジャベード氏は力説した。

 実際、米国内で約3000人の携帯電話ユーザーに対して調査を行ったところ、携帯にテレビがほしいと答えた人は、携帯にカメラがほしいと答えた人の約1.5倍、携帯にゲーム機能がほしいと答えた人の約6倍もいたことを紹介。テレビは音声サービスに次ぐ第2位の人気を誇るそうだ。

 3月1日から商用サービスを開始したVerizon WirelessのV CAST Mobile TVは、3種類の料金プランで提供されている。全8チャンネルのうち5チャンネルのみを視聴できるLimited Packageが月額13ドル(約1500円強)、8チャンネルすべてが視聴できるBasic Packageが月額15ドル(約1800円強)、8チャンネルに加えてビデオクリップの視聴が無制限に、メールのパケット通信料も定額になるSelect Packageが月額25ドル(約3000円強)だ。具体的な契約数は公表していないものの、好評だという。端末価格は一定期間の利用契約込みで300ドル程度。

 現在Verizon Wirelessによるサービスは全米の22州、33都市で提供されており、毎週カバーエリアが拡大している。2007年中には、AT&T(旧Cingular Wireless)もMediaFLOを利用したテレビサービスを提供予定だ。

PhotoPhoto 携帯の画面は映画館、テレビに次ぐ第3のスクリーンだとジャベード氏は話した。世界の約66億人の3分の1に上る約23億人が携帯電話を持っており、モバイルテレビの市場は大きく成長が見込めるという
PhotoPhoto 全世界のモバイルテレビの加入者は、2007年には1230万人程度だが、2011年には2億1620万人にまで増加するとの予測もある。コンシューマーユーザーの多くは、カメラやメッセンジャーよりもテレビの搭載を望んでいるという
PhotoPhoto 会場にはSamsung製のMediaFLO対応端末「SCH u260」とLG電子製の「VX 9400」でMediaFLOのイメージを体験できるコーナーも用意した

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